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IDマガジン第139号を発行しました。

IDマガジン 第157号

IDマガジン 第157号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2026年6月2日━━━━

<Vol.0157> IDマガジン 第157号

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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。

新年度が始まってあっという間に2か月。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回も、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

 

今回のコンテンツメニューはこちら↓

《 Contents 》

1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(117):生成AIが共著者になりファクトチェックも担う時代が来たの?

2. 【新連載】NemoのNY・ID便り(1):ゴールから見る1年

3. 【修論紹介】ドクターヘリ活動における搬送先病院選定を支援するeラーニング教材と地図支援アプリ(パフォーマンス支援システム:PSS)の開発

4. 【ご案内】第76回 まなばナイト6/13(土)「IDを学んだIT技術者が海外協力隊で見てきた世界とは!?」

5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?


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【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(117) : 生成AIが共著者になりファクトチェックも担う時代が来たの?

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ヒゲ講師は5月のとある日、津田沼にある大学でオンラインセミナーを拝聴していた。もともと勉強会をやろう、と集まることになっていた時間帯に、ちょうどぴったり面白そうなセミナーがあるとの情報を得た偶然の巡り合わせだった。無料で誰でも受講できる講座ではあったが、「★参加者人数を自動集計していますので、必ず1人ずつお申込みください★」と注意書きされていた。それにもかかわらず、みんなでワイガヤしながら聞いたほうが楽しいよね、ということで、注意書きに従わず(ごめんなさい)、視聴アカウントを1つだけ申請し、数人で画面共有しながら聞いた。いわゆる学会のシンポジウムの第二会場のノリだった。登壇者に文句をつけながら(失礼)、意見交換しながら聞くのが楽しい、と思ってのことだった。しかし、結果的には、誰も一言もしゃべらず、講師の話に聞き入ってしまうことになる。

偶然の出会いをくれたのはJEPA設立40周年記念オンラインセミナー「生成AIと出版、過去4年の衝撃と次の10年」、講師はデジハリ大教授の橋本大也氏。ヒゲと橋本氏との出会いは2023年6月のeLCがDLCになった記念講演「ChatGPTと教育の未来」。その時に話を聞いて、この人はタダモノではないと思った。橋本氏はブームになる前から生成AIを使い倒してきたと述べ、その成果で聴衆を魅了していた。あれから3年たったが、その間に何が起きたのか。橋本氏は生成AIがらみの著作を重ねていたが、そののめり込みようは、半端じゃなかった。相変わらず、すごかった。

冒頭から、このセミナーの企画・構成・スライドデザイン、さらには2万字におよぶ講演原稿まで、すべて「Claude」や「Gamma」といった生成AIを駆使して作成したことを明かした。さらに、自分の写真と声のデータを学習させたアバターAI(HeyGen)にその原稿を読み上げさせる実演を行い、ほぼ人間と見分けがつかないレベルで自動プレゼンができるところまで成長したことを示してみせた。

他方で、結論は至って予定調和的であった。それは生成AIは出版を殺さない、なぜ本を出すのかを問い直す機会を与えるものだ。人間が創ることの価値は著者性と希少性にある、というメッセージだった。

ヒゲには気になることがいくつかあった。生成AIはもう共著者レベルにあるという橋本氏の見立て。さらに、ファクトチェックは人間がやるよりも生成AIにやってもらった方が信頼できるレベルに到達したという指摘。毎年の進化が激しく、去年は無理だと思っていたことが今年はできるようになっている。来年は自分が登壇しなくても全部、生成AIに講演そのものを任せられるかもしれない、と予言した。一方で、ファンが音楽のライブに出向くように、本人の語りが聞きたいというニーズは残る。それが「著者性と希少性」だとも述べた。

ヒゲ自身は、あまり生成AIを駆使しているとは言えない状況ではあるが、学生に使うな、という指導は時代に逆行しているので大いに活用する術を身につけてもらうのがよい、と思っている。さらに、昨年聞いたICOME2025での基調講演(連載113回を参照されたし)に刺激を受けて、人間による指導が行き届かないところでは、教える側もどんどん使って応答的な学習環境を構築して提供するのがこれからの教師の重要な役割になるはずだ、とも思っている。でも、生成AIを使ったということをどのように引用するのがよいのだろうか、というレベルの課題を解決できていないヒゲは、「共著者になる」という見立てに驚いた。

生成AIを共著者にするためには、参考文献として掲げる以上に、執筆プロセスのなかで独自の貢献をしている必要がある。そうでない人(何も貢献していない上司など)を共著者にすることは「ギフトオーサーシップの問題」として禁じられている。橋本氏は共著者にしてもよいレベルだ、と述べていたが、その裏では生成AIとやりとりを重ねてきた経緯があるので、AIから自分の思考がかなり反映された答えが返ってくるようになった、とも述べていた。そうであれば、それは独自の貢献と言えるのだろうか。生成AIからの答えをどのように引用するか、という課題に加えて、どういう状態になったら共著者にするのか、という課題が増えたように感じた。

ファクトチェックは人間がやるというのがヒゲの現状認識だったが、もはや人間がやるよりも、より正確にできるようになった生成AIに分担させるべき作業になるという橋本氏の指摘を聞いて、「そうなのかもしれない」と思った。ハルシネーションが問題視されている段階はもう過ぎ去るということなのだろうか。

目まぐるしい変化を遂げている生成AIの現状を把握することには膨大なるリソースを投入する必要がある。橋本氏が質疑応答で「詳しい人に聞くのが一番良い」と述べていたように、時折、橋本氏から学ぶ機会を持つようにしよう、と改めて思った。

セミナー記録:https://www.youtube.com/watch?v=wiv1UCJrBdE
(日本電子出版協会提供:Geminiによる動画の概要・要約付き)

(ヒゲ講師記す)


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【新連載】NemoのNY・ID便り(1):ゴールから見る1年

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IDマガジン共同編集長の根本淳子さんが、ニューヨークで1年間過ごすことになりました。
そこで新連載を開始します!

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5月、ストーニーブルック大学のキャンパスは独特のリズムを刻んでいる。にぎやかだったはずの日常が静かになったと思えば、また別のざわめきが戻ってくる。そう、ここアメリカでは5月が年度末なのだ。

今年度、サバティカルを活用して、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校にお世話になっている。「NY」と聞けば大都会を想像するかもしれないが、ロングアイランドに位置するここは、マンハッタンから電車で2時間近くかかる。四季のある気候は東京に似ているが、少し北緯が高い分、肌寒さが長く続く。大きいが歩き回れないほどではない、緑のあるキャンパスだ。
着いたのが5月という年度末のタイミング。これが思わぬ「特等席」をくれた。1年の仕上げの場面から、この大学の学びを見始めることになったのだ。

学びを「見せる」日
まず目を引いたのが、URECA(Undergraduate Research & Creative Activities)というイベントだ。学部生が教員と取り組んだ研究を一斉に発表する、全学規模のシンポジウムである。大きなボールルームに200件以上のポスターが並び、学会さながらの光景が広がっていた。
興味深かったのはVIP(Vertically Integrated Projects)プログラムの発表だ。学部1年生から博士課程まで、異なる学年・専攻の学生が同じプロジェクトチームで複数学期にわたって取り組む仕組みである。AIを活用した業務改善システムや空きスペースを見つけるシステムなど、私が関心を持ったものだけでも実に多様だった。縦のつながりの中で、教職員とも連携しながら実際の課題に向き合う—教室の外で育つ学びの形がここにあった。

先生たちの学び場も「年度末」
年度末とあってFDのワークショップは多くないが、アクティブラーニングをテーマにした小さなセッションに参加した。10人ほどの教員に対し、IDer2名がファシリテーションを担う、なんとも贅沢な場だった。
QRコードからリフレクションを書き、いくつかの問いに答えながら対話が進む。「教室の物理的な環境が、あなたの指導の妨げになっていますか?」「テクノロジーは助けになっていますか、邪魔になっていますか?」—細長い教室、聞こえにくいマイク、400人規模の大教室でのグループワーク。現場の悩みが次々と出てきた。道具の紹介や設備の確認も交えながら、参加者が「それぞれの立場」で情報を持ち寄る場になっていた。

ゴールから見ると、見えてくること
IDを学んだ人なら、バックワードデザインという言葉はおなじみだろう。だが、実際に「ゴールの景色」を先に見てから1年を始めるとは思っていなかった。5月から見始めた私には、それが図らずも起きた。
URECAで並んだ200件のポスター、VIPプログラムで教職員とも連携しながら実際の課題に向き合う学生たち、FDで語られた現場の声——これらはすべて、1年間の学びの「終着点」の景色だ。この大学の設計者たちは、どんなゴールを描いてこれらを作ったのだろう。これから1年、そのゴールを起点に、この場で出会う学びのかたちをともに考えていけたらと思っている。

(根本 淳子)


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【修論紹介】ドクターヘリ活動における搬送先病院選定を支援するeラーニング教材と
地図支援アプリ(パフォーマンス支援システム:PSS)の開発

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こんにちは!私は、救急救命センターで働く看護師です。ドクターヘリでフライトナースとして活動もしています。
「ドクターヘリ」と聞くと、テレビドラマなどの影響もあり、一分一秒を争う緊命の現場で活躍する医師や看護師の姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。まさにその通りで、ドクターヘリの活動はまさに時間との戦いです。しかし、その緊迫した現場の裏側には、一般にはあまり知られていない「きわめて高度で複雑な意思決定」が存在します。それが、「患者さんをどの病院に搬送するか(搬送先病院選定)」という判断です。

背景:ドクターヘリ活動における「搬送先選定」の難しさ
ドクターヘリが要請されるような救急現場では、患者さんの命を救うために「一刻も早く最適な医療機関へ届けること」が求められます。しかし、最適な病院を選ぶというのは、単に「一番近い病院へ行く」だけではありません。
• 患者さんの症状(重症度や専門性)に対応できる病院か?
• ドクターヘリで飛んだ場合の飛行時間はどのくらいか?
• 救急車で陸路搬送する場合と比べて、本当にヘリの方が早いのか?
• 患者家族はどのような治療を望んでいるのか?
これらの情報を、フライトスタッフ(搭乗する医療スタッフ)は頭の中で整理し、冷静に判断しなければなりません。この判断は、熟練のノウハウが必要とされる領域だと思っています。そこで私は、「この複雑な判断を、効率的に学習できる仕組みは作れないだろうか?」と考え、本研究をスタートさせました。

教育と実務をつなぐ「PSS(パフォーマンス支援システム)」
本研究の核心となるのが、PSS(Performance Support System:パフォーマンス支援システム)という考え方です。 今までの教育では、搬送先病院選定について事前に十分な学習ができない状況にあります。なぜなら、ドクターヘリが離着陸できる場所は栃木県だけでも600ヶ所以上あり、全てを覚えることは困難なためです。
そこで、「搬送先選定に必要な知識を学ぶためのeラーニング(教育)」と、「eラーニング教材内で使用しながら学べ、現場で実際に使える地図支援アプリ(実務支援)」を一つに統合し、学びながらそのまま実践のサポートを受けられる、PSSを開発することを目指しました。

地図支援アプリの開発
今回、教材の一部として開発した「地図支援アプリ」の特徴は、栃木県を主な舞台(モデル)として想定し、「ヘリの直線飛行時間」と「救急車の道路走行時間」をリアルタイムにシミュレーションして比較できる点です。 画面上に「ドクターヘリ直線距離:〇〇km / 推定飛行時間:〇分(時速200km換算)」と「道路距離:〇〇km / 救急車での移動時間:〇分」がパッと同時に表示されるため、ユーザーは「このケースなら、ヘリを呼ぶアドバンテージがどれくらいあるのか」を視覚的・直感的に理解することができます。
学習者は、eラーニングで「病院選定の方法」を学び、この地図支援アプリを使って実際の地理的条件や搬送ルートをシミュレーションします。ただeラーニングで搬送先選定方法を学習するだけでなく、動的なマップを操作しながら学ぶことで、より実践的でリアリティのあるトレーニングが可能になりました。

研究のプロセス
研究のプロセスでは、開発したシステムを実際に使ってもらい、その効果を検証しました。 
まず、作成したeラーニング教材と地図支援アプリを1名のスタッフで1対1評価を行い、その後IDer2名による形成的評価、さらにドクターヘリ従事者3名に形成的評価を行いました。アドバイスをもとにeラーニング教材と地図支援アプリの改善し、その後、ドクターヘリに搭乗経験がないスタッフ17名に対し小集団評価を実施し、学習効果と地図支援アプリのユーザビリティ評価を行いました。

評価の結果
eラーニング教材の事前・事後テストでは、「搬送先時間予測」「搬送先選定」「搬送先選定理由」「メディカルコントロール(MC)病院の理解」の4項目に分け分析した結果、すべての項目において統計的に有意な差が認められ、eラーニング教材と地図支援アプリにより、必要な技能の習得を効果的に支援できたと示唆されました。 
地図支援アプリについては、7段階リッカート尺度による事後アンケートを実施し、地図支援アプリが学習段階での有効性に留まらず、実際のドクターヘリ活動における実務支援ツールとしての有用性も備えていることが示唆されました。一方で、操作性の更なる向上や情報の網羅性については改善の余地があることも明らかとなりました。

これからの展望
この研究は、修士論文が完成して終わりではありません。今後は、実際にドクターヘリに搭乗している現役のフライトスタッフの方々にもさらに触っていただき、より実務に即した形へとブラッシュアップしていきたいと考えています。

ご意見やご感想などございましたら、下記のメールにご連絡いただけますと幸いです。
Mail:shimihata3@gmail.com


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【ご案内】第76回 まなばナイト6/13(土)「IDを学んだIT技術者が海外協力隊で見てきた世界とは!?」

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これまでのキャリアは、まったく異なる環境に飛び込んだとき、どのような力になるのでしょうか。


今回のまなばナイトでは、企業でのIT技術者としての経験を経て、50代でJICA海外協力隊としてアフリカ・ボツワナに赴任された加地正典さんをお迎えします。


IDを学んだ視点、現場での試行錯誤、異文化の中で見えてきた仕事観や人生観を手がかりに、参加者のみなさんとともに「経験を価値に変える」ことを考えます。


現地会場・オンラインのハイブリッド開催です。ぜひお気軽にご参加ください。 

【日時】

2026年6月13日(土)17時00分~21時00分

Zoom待機室入場時間  16:50~

【会場】

銀座スプラッシュ

東京都中央区銀座7-2-20 パシフィック銀座ビル 7F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13037183/

※受付は16時50分となります。(予定)

【定員】

現地会場 20名
オンライン会場 50名


詳細・お申し込みは以下からどうぞ。
https://www.manabanight.com/event/manabanight76


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【イベント】その他、近々行われるイベントは?

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2026年6月20日 (土)
日本教育メディア学会 2026年度 第1回研究会「教師とメディアの活用/一般」@千葉大学

2026年6月20日 (土)~2026年6月21日 (日)
情報処理学会 第49回学習支援情報システム研究発表会@信州大学

2026年6月27日 (土)~2026年6月28日 (日)
情報処理学会 コンピュータと教育研究会 185回研究発表会@北海道自治労会館

2026年7月5日 (日)
教育システム情報学会2026年度夏季研究会「ICTを活用した学習支援と教育の質保障/一般」@札幌市社会福祉センター

2026年7月11日 (土)
日本教育工学会 研究会「高等教育/一般」@神戸大学鶴甲第一キャンパス

2026年7月19日 (日)
人工知能学会 第107回 先進的学習科学と工学研究会@近畿大学 


★ 編集後記

ひげ講師と一緒に、橋本氏のオンラインセミナーを視聴しました。その後はお酒を片手にひげ講師や一緒に見ていたN先生とディスカッションしましたが、今回の記事を読んで、へー、ひげ講師はそんなことを考えていたのね!と新たな気づきがありました。橋本氏によると、これからAI時代に学ぶべきことは、「審美眼・キュレーション:選ぶという創造」「問題定式化:問いを立てる力」「リベラルアーツとディープジェネラリストの復権」「人間プレミアムと身体性への回帰」ということです。これらは著者が所属する理系の大学教育で何とかなるのか?(萌芽は育てたい)、しかし一生学び続けることになるのだろうな、などと考えさせられました。刺激的なセミナーでした。

(第157号編集担当:高橋暁子)

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【 mail to:  id_magazine@go.gsis.kumamoto-u.ac.jp 】

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<発行>

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本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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