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山村果穂(2026)学習意欲の維持を支援する生成 AI 活用学習振り返りシステムの開発.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
詳細はありません。
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清⽔畑慶⼀(2026)ドクターヘリ活動における搬送先病院選定を⽀援する e ラーニング教材と地図⽀援アプリ(パフォーマンス⽀援システム:PSS)の開発.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
ドクターヘリに搭乗する医療スタッフには,患者の救命活動に関わる⾼度な知識・技術
だけでなく,迅速かつ的確な判断⼒が求められる.その判断には,患者の⾝体症状やラン
デブーポイント,地理的・社会的背景を踏まえた「搬送先病院の選定」が重要になる.し
かし,搬送先病院の選定については標準化されたガイドラインや⽀援ツールの整理は⼗分
ではなく,各ドクターヘリ拠点病院で独⾃の学習機会を設けている現状がある.
本研究は,ドクターヘリ搭乗経験がないスタッフに対し,搬送先病院の選定に必要な知
識と知的技能を習得するための e ラーニング教材と,Google Maps API を活⽤した地図⽀
援アプリによるパフォーマンス⽀援システム(PSS)の開発を⾏なった.
開発した e ラーニング教材と地図⽀援アプリの有効性を検証するため,インストラクシ
ョナル・デザイナー(IDer)による形成的評価と,現場の指導的⽴場にある医師・看護師
に形成的評価を受けた.評価から得られた専⾨的な知⾒に基づき,教材の構成や地図⽀援
アプリの修正・改善を重ね,完成度を⾼めた.
その後,ドクターヘリ搭乗経験がないスタッフを対象に,⼩集団評価を実施した.
評価の結果,e ラーニング教材の事前・事後テストは 24 点満点とし,「搬送先時間予測」
「搬送先選定」「搬送先選定理由」「メディカルコントロール(MC)病院の理解」の4項⽬
に分け分析した結果,すべての項⽬において統計的に有意な差が認められた.e ラーニン
グ教材と地図⽀援アプリにより,客観的な根拠に基づいた選定プロセスを学習者に提⽰し,
必要な技能の習得を効果的に⽀援できたことを⽰している.
地図⽀援アプリについては,7 段階リッカート尺度による事後アンケートを実施した.
その結果,「地図⽀援アプリを業務上で活⽤する事ができそうですか?」の項⽬で Mean 6.4
という⾼い評価が得られた.この結果から,地図⽀援アプリが学習段階での有効性に留ま
らず,実際のドクターヘリ活動における実務⽀援ツールとしての有⽤性も備えていること
が⽰唆された.⼀⽅で,操作性の更なる向上や情報の網羅性については改善の余地がある
ことも明らかとなった.
結論として,本研究が提案した PSS は,ドクターヘリという時間的制約が厳しい専⾨職
の業務⽀援において,教育と実務を補完し合う有効なモデルとなり得ることが⽰された.
今後は,実運⽤を通じた⻑期的なパフォーマンスの変化を測定し,さらなるシステムの洗
練を図る必要があると考える.
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関根教博(2026)SCCに基づく実社会文脈を活用した授業設計と教材開発〜教職課程「特別活動論」における実践力の育成〜.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
学校教育を取り巻く社会的環境が大きく変化している中で、学校は地域や保護者、関
係機関と相互に連携・協働して教育に取り組むことが一層重要となっている。
教師には地域住民、保護者、関係機関と目標やビジョンを共有しながら、教育目標の
実現に向けて教育活動を推進していくことが求められている。
大学の教職課程「特別活動論」では学習指導要領の理解に留まることなく、他者とよ
りよく協働しながら学校教育を進めていくための実践的資質・能力の育成が課題である。
そこで、SCCに基づく授業設計及び教材開発を行い、実践力の育成を図ることとし
た。
学習者を「新任教師」として位置付け、進路指導主任からの「企業と連携したキャリ
ア教育を企画・提案せよ」という使命のもと学習者はチームで学習指導要領等最低限の
情報源を活用しながら、学習計画を立て、進路指導主任・管理職・企業からのフィード
バックを通じて計画の改善を繰り返しながら教師に必要な外部と連携し折衝する力を
身に付けていく。
本授業は、対面による同期、授業外での非同期で構成されており、フィードバックと
省察を往還させる学習が特徴である。
IDの専門家2名、教育の専門家1名のレビューに基づき授業設計及び教材開発の妥
当性を検証し改善を図った。
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改善後に形成的評価を実施し、アンケート及び半構造化インタビューを通して協力者
の意見や振り返りシートを分析した。その結果、教員としての立場で考える経験の意義
や、チームで協働する学習の有効性を肯定的に捉えられたことが分かった。また、振り
返りシートにより失敗からの学びの効果が示された。
本研究では、ストーリー中心型カリキュラム(以下SCC)を理論に「特別活動論」
の授業を再設計することで、学校現場に近い文脈で実践力を育成する授業モデルとして
の有効性が示唆された。
本研究の成果は、教職課程における実践重視の授業設計に対する一つの具体的提案で
あり、今後の教員養成の質的向上に資する知見を提供するものと考えられる。
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大須賀匠(2026)食中毒予防教育における授業設計―HACCP フレームワークに基づく協働的学びの実践―.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究は、食品衛生法改正により HACCP に沿った衛生管理がすべての食品事業者に義務
化された社会的背景を踏まえ、学校教育における食品衛生教育の課題に着目したものであ
る。特に学校現場では依然として行動指導中心の教育が主流であり、食中毒事故の多くが
工程上の判断ミスに起因しているにもかかわらず、工程理解や危害要因の予測といった構
造的学習が十分に行われていない実態がある。さらに、教材不足や指導方法の難しさ、学
習の振り返り機会の欠如など教育環境上の課題も指摘されている。本研究が対象とする農
業高校では食品加工・製造に関する学習が多く、卒業後に食品関連産業へ進む生徒も多い
ことから、HACCP の考え方に基づく工程管理能力の育成が喫緊の課題となっている。
本研究の目的は、HACCP のフレームワークに基づく工程分析を教育に応用し、工程理
解・危害要因分析・判断力育成を重視した食品衛生教育の授業モデルを構築し、その教育
的効果を検証することである。内容として、ADDIE モデルに基づき、工程図を用いた危害
要因の特定、事例分析、協働学習、報告書照合、自己評価・省察を組み込んだ学習構造を
設計した。また、授業設計の妥当性を検証するため、SME(内容領域専門家)および ID 専
門家による形成的評価を実施し、学習目標・評価・教育内容の接続、教材の視認性、成果
物の明確化、学習者支援の構造化などの改善点を反映して正式な授業設計を構築した。
そのうえで、構築した授業モデルを農業高校で実施し、ARCS モデルに基づく動機づけ支
援、事例分析型学習、協働学習の効果を量的・質的データから検証した。
結果、ARCS アンケートでは特に Relevance と Satisfaction が高く、授業内容が実習
経験や進路と結びついて理解されていたことが示された。理解テストでは全員が満点を獲
得し、工程図を用いた事例分析が基礎理解の定着に寄与した。振り返りシートからは、事
故原因推定の難しさへの気づきと理解の再構築、協働学習による自信形成など、学習者の
態度変容が確認された。担任教師(管理職者)による授業評価でも、教材準備の適切さ、
学習活動の構造化、学習者支援の明確さが高く評価された。
一方で、理解が遅れた学習者への再系列化、授業前の試用、教材改訂の仕組み、プログ
ラム全体の評価計画など、授業改善サイクルに関する課題も明らかとなった。
以上より、本研究で構築した「HACCP×事例分析×協働学習×ARCS」の統合的授業モデ
ルは、食品衛生教育における工程理解・危害要因分析・主体的学びの促進に有効であり、
食品関連産業に進む生徒にとって実践的価値を持つ教育的枠組みであることが示された。
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大崎悠河(2026)国立高専モデルコアカリキュラムのためのロールプレイングゲーム型学習の開発.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究は,高専モデルコアカリキュラム(MCC)に準拠した学習内容を,教員が比較的低
エフォートで設計できるロールプレイングゲーム(RPG)型補助教材として具体化する方法を
検討したものである。対象科目として阿南高専の「数値計算」を取り上げ,粟飯原のシリアス
ゲーム型学習用教材構築法(SGLM)を参照しつつ,既存システム調査,授業資料分析,SME
インタビュー,および事前アンケート(24 名)から設計要求を導出した。設計では,要求定義
書,要求分析書,学習方式設計書,外部設計書,内部設計書を作成し,そのうえでガウスの消
去法からガウス・ジョルダン法を題材とする単一フロアの試作版を Unity+RPG Maker Unite 上
に実装した。試作版では,導入会話,扉の試練,行基本変形をスキルとして選択するターン制
戦闘,残差表示,再挑戦支援,脱出イベントまでを一連の流れとして構成した。形成的評価と
して,まず ID 専門家 1 名が設計文書をレビューした。その結果,学習目標とゲーム行為の整
合,残差を小さくする意味の明示,ARCS 分類の再整理,実世界との関連付け強化が主要論点と
して抽出された。次に学生 2 名による小規模パイロットを行い,事前・事後アンケート,主観
評価,プレイログを収集した。2 名とも事後の価値得点は上昇したが,理解への役立ちと操作の
分かりやすさの評価は分かれた。さらに,1 名は約 41.7 分プレイして戦闘終了ログを 7 件残した
一方,もう 1 名は約 4.1 分の探索中心利用に留まった。以上より,本研究の意義は,MCC に基
づく RPG 型教材の有効性を実証した点ではなく,設計・試作・形成的評価を通じて,今後の改
善論点を明確化した点にある。
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沼⽥真明(2026)バラエティ番組を題材とした映像分析能⼒育成の授業デザイン―発達段階に応じた⽀援とワークシート開発の試み―.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
現代メディアの主要な⼀⾓を占めるバラエティ番組には密着ドキュメンタリーや再現ド
ラマなどの複合的な表現が⽤いられ、制作のためには⾼度な映像演出技術を必要とする。
その制作現場における映像演出技術の育成は、正統的周辺参加による暗黙知習得というス
タイルに偏重しているのが現状である。⾃主的な学習⽅法としては既存番組の分析が推奨
されるが、演出意図の解読は個⼈の暗黙知に依存しており初学者が⾼い学習効果を得るこ
とは難しい。番組制作者のみならず⼀般的な⽣活者にも映像表現活動は広く普及してきて
おり、映像の分析ならびに表現のスキル育成が求められている。しかし、⾼等教育におけ
る映像制作教育は物語制作やジャーナリズムに偏重しており、バラエティ番組の複合的な
表現を網羅的に学習できる指導法は確⽴されていない。
本研究は、インストラクショナル・デザインの⼿法を⽤い、映像表現スキル育成を念頭
においたバラエティ番組分析を学習可能な技能として発達させるための授業設計と評価を
⽬的とする。本研究では、パーソンズの美的経験の発達段階モデルを参考に、バラエティ
番組分析能⼒を「主観的な感想(段階1)」から「理論的転移(段階5)」へと⾄る「番組
分析の発達段階モデル」として定義した。指導の枠組みには認知的徒弟制を採⽤し、熟達
者の思考を可視化するためのスキャフォールディング・パッケージ(定点観測テスト、演
出効果の5 分類、⼼を動かす諸理論、段階的ワークシート)を開発した。教材開発にあ
たってはADDIE モデルに準拠し、専⾨家による形成的評価を経て妥当性を担保した。芸
術学部放送学科の⼤学⽣を対象に全15 回の授業実践を⾏い、学習者8 名の事前・中間・
事後テストおよび最終レポートの記述を、開発したルーブリックに基づき分析した。そ
の結果、基礎知識の教授のみでは「構造的理解(段階4)」に留まる壁が確認されたが、
⼼理学等の「⼼を動かす諸理論」を⽤いた介⼊により、学習者は演出意図を理論的根拠に
基づいて説明し、他事例へ応⽤可能な形で概念化する「段階5」へと質的変容を遂げた。
本研究の結果は、制作現場の暗黙知に依存していた映像分析能⼒が、適切な⾜場かけによ
り習得可能なスキルへ転換できることを⽰唆している。
本研究で構築した授業モデルは、専⾨教育における効果的な指導法としてだけでなく、
映像制作が⽇常化した現代社会において、広く⼀般の表現者が⾃⾝の映像リテラシーを向
上させるための汎⽤的な基盤となり得る点に社会的意義がある。
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西村慈子(2026)プレシニア・シニア対象の自己変容支援型フレイル予防学習プログラムの開発.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究は,ADDIE モデル,Gagné の 9 教授事象,ARCS モデル,ならびに合田らの
学習支援枠組みを援用し,インストラクショナルデザイン( Instructional
Design:ID)を基 盤と して,プレ シニ ア・シ ニア世 代を 対象 とし た自 己変容 支援型
フレイル予防学習プログラムを開発し,その教育的効果を検討した実践研究であ
る.本 プログ ラム は,高 齢期 の学 習特 性に配 慮し,共感 的支 援を 起点と した 段階的
な学習 構造,振り 返り を通じ た自 己調 整学習,さら に社 会参 加へと つな がる 実践的
学習プロセスを重視して設計された.
本プログラムは,熊本県水俣市において, 2024 年 6 月から 2024 年 11 月にかけ
て,全 12 回(各 90 分)の市民教室として実施された.対象者は地域在住のプレ
シニア・シニア 11 名であり,フレイル予防,生活習慣の改善,健康行動の定着お
よび社 会参 加を 主題と して ,講 義,体 験,ワ ーク,対話 を組 み合わ せた 学習 活動を
行った.
プログ ラム の効 果検証 とし て,定 量的 評価お よび 定性 的評価 を実 施し た.定 量的
評価では,フレイル基本チェックリスト等を用い,第 5 回時点および第 9 回時点
におけ る変 化を 分析し た.定 性的 評価 では,ワ ーク シー トへ の自由 記述 およ び振り
返り内容を分析し,参加者の意識変容および行動変容の様相を検討した.
その結 果,身 体的・心理 的・社 会的 側面 におい てフ レイ ル関連 指標 の改 善が 認 め
られるとともに,日常生活における健康行動の継続や地域活動への参加意欲の高
まりが確認された.以上より,本研究で開発した ID 基盤の自己変容支援型学習プ
ログラ ムは,プレ シニ ア・シニ ア世 代に おける フレ イル 予防お よび 行動 変容 を 促進
する上で有効であることが示唆された.
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二之宮篤子(2026)リウマチ看護師による関節リウマチ患者の自己管理能力育成に向けた教材とジョブエイドの設計.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
自己免疫疾患である関節リウマチでは,リハビリテーション療法(リハビリ)や患者自身
による基礎療法(ケア)が重要とされている.その患者教育において,リウマチ看護師の役
割は大きいが,患者教育に割ける時間やリハビリ関連知識,特に関節機能評価に不安を抱
えており,継続的な教育支援も十分とは言えない.
本研究の目的は,リウマチ看護師が自信を持って,短時間でリハビリ関連の患者教育を
実践するための教材やジョブエイドを開発し,その実用性と妥当性を評価することである.
患者教育の最終目標は,患者がケアを実践すること(態度)によって障害予防を達成,
維持することである.本研究ではその前段階として,患者がケア実践に必要な知識(言語
情報,知的技能)の習得を目標とした.また患者の知識習得につなげるために,看護師の
教育実践可能度の向上を目標とした.
研究は ADDIE モデルに基づいて実施した.分析段階では先行調査および文献レビュー
から看護師の教育上の課題を抽出し,設計段階ではガニェの学習成果の5分類およびARCS
モデルを援用して,教材集を設計した.教材集は,患者向けの紙教材「自宅で行う運動(上
肢)」と,看護師・患者向けのジョブエイド「運動調整フローチャート」,看護師向けのジ
ョブエイト「教材解説書」の 3点を開発した.形成的評価として,患者や医療専門職(SME),
ID 専門家によるレビューを経て改訂を重ね,最終的にリウマチ看護師 1 名と関節リウマ
チ患者 1 名の 1 対 1 評価を行った.カークパトリックの 4 段階評価モデルに沿って,看護
師はレベル 1・2・3,患者はレベル1・2について評価した.
評価の結果,患者・看護師ともに教材集への満足度は高く,言語情報や知的技能の習得
という効果も得られた.看護師はジョブエイドで知識を補完することで認知的負荷が軽減
し,自身の専門性に重ねながら患者教育ができたと考える.また患者は,日常生活動作と
運動を結び付けた教材によって運動への関心が高まったと考える.
本研究の成果は,SME の専門的思考過程を言語化したジョブエイドを構築することで,
SME でない教育者を介した教育実践におけるジョブエイドの有用性を示した点である.そ
こには SME から学習者,SME から SME でない教育者(支援者)といった二層の「認知
的徒弟制」が機能したと考える.今後は,対象者数を拡大した検証や,運動技能の習得を
目標とした動画教材の開発,SME 対応か支援者対応かを判断する基準の整備が課題であ
る.
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⾹⻄江利⼦(2026)GOLDメソッドに基づく振り返りシートを活⽤したOJTにおける臨床判断の解釈プロセスを⽀援する取り組み.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究の⽬的は、GOLD メソッドに基づく振り返りシートを活⽤した臨床判断の解釈
プロセスを⽀援する取り組みが、新⼈看護師の臨床判断の育成に有⽤であるかを検証する
ことである。
本研究では、解釈プロセスを⽀援する取り組みとして振り返りシートを活⽤した OJT
⽀援を実施し、新⼈看護師が OJT の中で記載した振り返りシートの内容を質的に分析す
るとともに、新⼈看護師および OJT 指導者を対象としたアンケート調査を⾏った。
その結果、振り返りシートを活⽤した⽀援を通して、新⼈看護師は観察した情報を整理
し、臨床判断の解釈プロセスの枠組みに沿って記載するようになる変化が認められた。初
期評価に関する記載は⽐較的早期に定着し、その後、判断に関する記載へと段階的に進む
変化が⽰された。判断過程が外在化、可視化されたことで、新⼈看護師と OJT 指導者の
間で思考を共有しながら関わることが促進され、学習内容を臨床場⾯で即時に活⽤しやす
い状況が形成された可能性が⽰唆された。アンケート結果からは、新⼈看護師が⾃⾝の成
⻑を肯定的に捉える傾向が⽰され、OJT 指導者においても、新⼈看護師の思考過程が把
握しやすくなったとする回答がみられた。
以上より、GOLD メソッドに基づく振り返りシートを⽤いた OJT ⽀援は、新⼈看護師
が臨床判断の解釈プロセスを意識的にたどり、経験を振り返りながら学習するための基盤
を形成する上で有⽤であることが⽰唆された。
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⻩世捷(2026)医学教育における動画付問題チェックリストの開発と問題作成⽀援.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
⽇本の医学教育は、令和 5 年の医師法改正による診療参加型臨床実習の合法化を経て、実
践的な診療能⼒の質保証が求められるフェーズにある。しかし、現⾏の評価⼿法には、知識
を問うテキストベースの多肢選択問題(MCQ)と、実技を評価する OSCE との間に「動的
な視覚・聴覚情報の解釈」を問う⼿法が⽋如しているという課題がある。このギャップを埋
める「動画付臨床問題」は重要視されているが、その作成には医学的知識に加え、テスト理
論や認知負荷を考慮した編集技術といった⾼度なスキルが求められる。現状、これらのスキ
ルは⼀部の熟練者の「暗黙知」に留まっており、組織的な作題体制の構築を阻んでいる。
本研究は、SECI モデルを理論的枠組みとし、熟練作題者の暗黙知を⾔語化・構造化(形式
知化)することを⽬的とした。具体的には、動画問題の品質を担保するための評価指標
「ACREF(Appropriateness: 妥当性、Construction: 構成、Refinement: 洗練)」を開発した。
本指標は、最低限遵守すべき必須項⽬(Essential)と質的向上を⽬指す推奨項⽬(Further)
の 2 段階基準で構成されている。
指標の有効性を検証するため、領域専⾨家(SME)2 名を対象とした形成的評価を実施した。
SME による作題、⾃⼰評価、他者評価、および筆者によるエキスパート評価の結果を定量
的・定性的に分析した。その結果、ACREF は経験の浅い作題者にとっての「道しるべ」や、
教員間の「共通⾔語」として機能し、客観的なフィードバックを可能にすることが⽰された。
⼀⽅で、専⾨家が動画内の微細な臨床的⽭盾に拘泥し、学⽣レベルでは良問とされるものを
不適切と判断する「熟達者の盲点(Expert Blind Spot)」という課題が浮き彫りになった。
この齟齬を回避するため、動画を「タグ(メタデータ)」によって抽象化する⼿法や、評価
前に「臨床実習後の医学⽣」という対象読者を明⽰する「アンカリング」の重要性が確認さ
れた。
本研究が提案する ACREF および運⽤モデルは、個⼈の経験則に依存していた作題プロセス
を組織的な品質保証へと転換させる⼀助となる。今後は、対象診療科の拡⼤や学習管理シス
テム(LMS)への実装、さらには蓄積されたデータセットを活⽤した⽣成 AI による作題⽀
援システムへの発展が展望される。
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磯濱真理子(2026)身体的機能に基づく段階的思考支援による看護学生の食事援助技術教材開発.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究の目的は、身体的機能の視点に基づき、看護記録から得られる情報を解釈・整理
し、その解釈の重みづけや再考を含む思考過程を段階的に学習できる食事援助技術教材を
開発すること、および、看護学生の観察における思考を言語化によって外化し、その変化
を捉えることを可能にする設計となっているかを検討することである。
先行研究において、アクティブラーニングを取り入れた学習活動の有用性は多数報告さ
れている。一方、看護技術は、臨床場面での実施機会が限られる場合があり、その際には
代替的な訓練方法の検討が必要である。特に安全な食事援助技術の提供には、実施前の観
察に基づく解釈と思考過程が重要であるが、その思考過程自体を学習対象として明確に位
置づけた教材は十分とは言えない。
本教材は、認知的徒弟制の考え方を基盤とし、身体的機能の視点を枠組みとして、看護
記録から情報を解釈・整理し、その解釈の重みづけ(以下、本研究では優先度)や再考を
行う段階的思考を支援する設計とした。本研究での優先度とは、行動や介入を直接決定す
るものではなく、複数の解釈を整理し、状態理解を構造化するための認知的操作と定義す
る。
段階的思考は、ステップに沿って進めることを基本とするが、必ず順序通りに進めるこ
とを求めず、ステップ間を行き来しながら思考を展開できる構造とした。解釈に迷いが生
じた場合や再考によって解釈が変化した場合には、その思考の変化自体を学習の特性とし
て捉え、言語化によって外化された思考過程を段階構造の中で、整理できることを重視し
た。
学習活動では、分類や優先度の正誤を評価するのではなく、思考過程とその変化に着目
した設計とした。用語ヒントや例示を提示することで学習者のレディネスの差に配慮し、
思考が停滞せず言語として表出されることを重視した。
本研究では、思考過程そのものを教材化し、言語化によって外化された思考を比較可能
とする食事援助技術教材を開発し、その設計と内容の妥当性を Instructional Designer
(以下:IDer)および Subject Matter Expert(以下:SME)によるレビューを通して検討
した。
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五十嵐敢(2026)国際バカロレア「日本語 A:文学」の魅力あるオンライン化の設計と実装-どこでも、一人でも、Moodle で学べるように-.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
国際バカロレアの高校生プログラム(以下 IBDP とする)では母国語を含む言語科目を
二科目選択する必要がある。シンガポールからみる現状は、開講される学校が限られ学習
支援の環境を得るのが難しいという考えから「日本語」を選択しない日本人高校生も多
い。本研究では、よく考えられた教材とカリキュラムがあれば、Moodle でも学習が可能
ではないか、そうすれば母国語を諦めずに将来の高等教育につながるのではないかと考
え、試験形式から要件を整理し Moodle に実装する際の課題を展望する。
今回の研究は、IBDP の言語 A:文学の中で「日本語」という世界的にもニッチな分野
を採り上げている。また、背景となる国際バカロレアや言語 A:文学という科目の知識
や、日本の国語教育との差を知りたいという方もいるだろうと考えた。そのため、章ごと
に単独で読めるように各章にエグゼクティブサマリーや注釈をつけた。
章立ては以下の通り。①なぜこの研究に価値があるのか②開発のコンセプト③国際バカ
ロレアを概観する④「日本語 A:文学」を概観する⑤「日本語 A:文学」のコースデザイ
ンを考える⑥「オリエンテーション」のパートの条件⑦ペーパー1のパートと Moodle 試
作版の評価⑧ペーパー2のパートと Moodle で実装する条件⑨個人口述のパートと Moodle
で実装する条件⑩結論と展望のための断章
①②⑩を読むことでこのニッチな研究がなぜ実践的価値を有し、将来性があるかが伝わ
るよう構成した。1 年以内に全パートを Moodle で実装することを目指し、変化しつづけ
る IBDP の学びの一瞬を切り取った海外在住講師の研究報告としてお読みいただきたい。
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畑中怜子(2026)企業研修における e ラーニング受講を促進するためのツール設計
―LMS ログを活用した人事研修担当者の学習介入― .熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
近年、人的資本経営やデジタル・トランスフォーメーションの注目やリスキリングの必
要性の高まり、多様な働き方の基盤づくり等の背景により、日本国内では企業における人
材育成の方法として e ラーニングの活用が拡大している。このような社会的背景の中、
LMS(Learning Management System)で提供される、非同期分散型の e ラーニングは時
間や場所の制約を受けにくい特徴がある一方で、孤独な学習環境では、学習の停滞やドロ
ップアウトが生じやすく、学習者支援の在り方が課題とされてきた。
また LMS には学習ログが蓄積されているものの、それらをどの様に解釈し、支援判断
に結びつけるかは、企業の中で研修の企画運用を担当する人事研修担当者の経験や属人的
な判断に依存している場合も少なくなく、体系的な学習支援の枠組みは十分に整理されて
いるとは言えない。
オンライン学習に関する先行研究では、学習継続に関する観点から、学習行動を手掛か
りとして学習者の状態を捉えてきた。またラーニングアナリティクス(Learning
Analytics)の分野では、学習ログを用いた学習行動の可視化や支援についての研究実績
が示されてきた。しかし、これらの知見を企業研修の実務における学習支援判断基準の視
点で具体的に落とし込む研究は、国内においては十分とは言えない。
本研究は、先行研究で整理されてきたオンライン学習行動の知見を基盤として、企業研
修における e ラーニング学習者に対して企業の人事研修担当者が学習支援の設計を行うこ
とを目的とする。具体的には、LMS 上で取得可能なログ情報(ログイン状況、進捗率、
最終ログイン日時、受講期間の残日数など)を学習行動の指標として整理し、人事研修担
当者が学習状況を判断し、e ラーニングの受講を完遂するために適切なタイミングで介入
を行うための支援ガイドを設計した。
なお、対象とするのは非同期分散型の e ラーニング受講であり、受講期間は 3 カ月間、
映像と小テストが組み合わされた研修とした。働き方の多様性に対応できるよう、声かけ
は e メールや LMS 上からのメッセージ送信を前提としている。また、研修で学んだこと
を業務の実践することを支援する立場にある、学習者の上司とも連携を行うように設計を
行った。
支援ガイドの設計にあたっては、学習行動を「開始時・中盤・終了時」という学習フェ
ーズと、「良好・要注意・高リスク」という状況区分の二軸で整理し、受講ログを学習行
動として解釈し、支援判断、具体的な声かけ文面のテンプレートを提示した。
開発した支援ガイドについては、インストラクショナルデザインの専門家 2 名による
レビューおよび、実務担当によるパイロット試用を通じた形成的評価を行った。その結
果、学習行動に基づく支援判断の枠組みの理解が得られ、実際の受講生を想定した支援文
面の作成にも活用できることが確認できた。
一方で、支援対象者の優先順位や、一部のログの解釈において判断に迷う場面も明らかと
なった。
本研究では、支援ガイド使用における完遂率の変化に対する効果検証や、学習分析によ
る予測を目的とするものではなく、先行研究で整理されたオンライン学習行動の知見を企
業研修の運用実務における、学習支援判断へと整理する設計として位置づけられている。
今後の課題としては、実際の LMS データを用いた学習支援の実践と効果検証が挙げられ
る。更には運用者である人事研修担当者の判断負荷を軽減するため、支援対象者の自動検
出など LMS 機能の実装可能性についても検討する余地があると考える。
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濱田義明(2026)協働スキル育成を目的としたARCS モデル型研修の設計と効果検証― DX 研修を題材とした実践的アプローチ ―.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究の目的は,若手社員の協働行動を高めるために,協働をテーマとした研修を ARCS モ
デル(注意(Attention),関連性(Relevance),自信(Confidence),満足(Satisfaction))
に基づいて再設計し,その有効性を形成的に検証することである.背景として,対象企業の調査
から「上司と気軽に話せる」一方で「自分が中心となって成果を出した経験が少ない」というギャ
ップが示唆され,知識伝達中心の従来研修では実務への転移と自信の形成が不十分であった.
本研究では,自己決定理論(SDT)と ARCS を対応づけ,e ラーニング(LMS)上でフォロワ
ーシップとアサーティブ・コミュニケーション(DESC 法)を統合した学習構造を設計した.設計妥
当性はエキスパートレビューで点検し,その後,人事部門中心の小集団(n=3)を対象に約 4 か
月間の形成的評価を実施した.評価データは,ARCS アンケート,事前・事後テスト,フォーラム
投稿,貢献構想メモ(行動計画),自由記述である.
結果として,注意(Attention)・関連性(Relevance)・満足(Satisfaction)は概ね高水準
で,自己診断や相互コメントによる学習体験が肯定的に受け止められた.一方で,自信
(Confidence)は相対的に伸びが限定的で,実務場面での成功体験の不足や上司からの承認
機会の欠如が示唆された.転移意向は一定の高まりが見られたが,情報収集や類似課題への適
用など一部の実務スキルでは支援の強化が必要である.
以上から,次期改善方針として,①小タスクを連鎖させた段階的成功体験の設計(自信
(Confidence)強化),②上司承認・同僚フィードバックを組み込む職場連動型の転移支援,③
短期集中運用と進捗フォローの仕組み化,④学習者属性に応じた設問難易と回答負荷の見直し,
を提案する.本研究は,小集団・予備的検証で外的妥当性に限界があるものの,ARCS×自己
決定理論(SDT)の統合視点から企業内の協働スキル育成を「行動変容」まで見据えて設計・評
価した点に実践的意義がある.今後はサンプル拡大と上司コメントを含む運用で,効果量と転移
成果の精緻な検証を進める.
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浅野あす香(2026)学びの振り返り活動の促進と可視化に向けた試み.熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 2025年度提出修士論文
本研究は、学習者による継続的な振り返り活動を支援し、得られたデータを学習成果として活用
するための仕組みの検討と、その有効性を検証することを目的としている。
教育の質保証に向けた「学習成果の可視化」の取り組みにおいて、GPA などのレーダーチャ
ートや e ポートフォリオなど、多くの高等教育機関で可視化が行われている。
しかし、本質的に学習成果を可視化するためには、各高等教育機関の特色を表す複合的な指
標を用いて信頼性のあるデータとすることが必要であり、教育理念に即した汎用的能力および分
野横断的能力を育成・評価するための指標の検討が重要である。
そこで、本研究では、学習成果の可視化指標の 1 つとして質的間接評価 学習者の振り返り(リ
フレクション)に着目する。
振り返り(リフレクション)は、学習設計・評価・支援のすべてに関与し、学習者のメタ認知能力や
自己調整学習を育成する上で重要なプロセスであり、学習者中心の教育を理論的・実践的に実現
するための基盤となり、所属大学の教育理念に即している。
本論文では、所属大学の目指す学生像である「自己調整学習者」の成長を促す仕組みとして、
既存のリフレクション・シートの役割を拡張し、学習目標を反映したルーブリック指標を用いた自己
評価機能とそのデータを蓄積し可視化する機能を学習管理システム(Moodle)に実装した。
学習者は、学習管理システムログイン後にダッシュボードで自身の学習の軌跡を確認し、自己の
学習活動を客観的に捉え、達成状況や改善の余地を見出し、次の学習へつなげる機会となる。
この活動は、所属大学の既存のリフレクション活動である複数回のリフレクション・エッセイの提出
とも接続し、大学 4 年間のリフレクティブ・ラーニング・フレームワーク(仮説)の一部として位置付け
る。
開発したプロトタイプは、内容領域専門家 1 名とインストラクショナルデザイン領域の修士号取得
者 2 名の計 3 名の専門家に依頼し、プロトタイプの機能、リフレクション活動の定着・効果、学習と
教育への影響に関するアンケート・インタビューを行い、有用性・妥当性を検証した。