トップ作業支援ツール学習設計マニュアル関連大学1年生教養科目での実践例(個人学習+グループ学習)お手軽度★★

大学1年生教養科目での実践例(個人学習+グループ学習)お手軽度★★

授業の概要

  • 科目名:
    自分の学び再確認(全8回、セメスターで実施)
  • 授業のねらい:
    学習設計に関する理論や知識を学習者自身の学び全般に活用できるようになること
  • 対象者:
    大学1年生 約50人×2クラス=約100人
  • 実施方法:
    個人学習+グループ学習

表1 授業概要(後で挿入)

学習設計マニュアル使用章

第2章 学習スタイルを把握する
第4章 学びの深さを考える
第6章 学び合う下地をつくる
第7章 意見を出し合い整理する
第8章 仲間と力を合わせる
第9章 時間を管理する
第11章 学習意欲を高める
第12章 理解を促す
第13章 出入口を明確にする
第14章 課題に合った学び方をする

1回(90分)の授業例

1)章課題を活用したディスカッション(第2回の授業)

章末にある問題を解かせて、グループ内でお互いに感じたことを共有する。
お勧めは第1部。学習スタイルを中心として自己分析をする。

2)ジグソー法を活用したグループワーク(第3回、第4回の授業)

教員側で取り挙げたい章を複数ピックアップし、章ごとに担当グループを決め、担当章についてA4の紙にまとめる(ミニポスター)。 まとめた後は、担当グループ間で共有し、改善した後、担当章以外を担当した他グループとの間で紹介しあう。最後に自分のグループに戻ってリフレクションし、ミニレポートとして感想を書く。

活動内容 補足
0.活動の意図・進め方についての説明  
1.授業のテーマに合わせた対象章を4章分用意する
  • 「第2部 学びの場をつくる」をテーマに議論させることが目的の回では、下記4章を用意
    第6章 学び合う下地をつくる
    第7章 意見を出し合い整理する
    第8章 仲間と力を合わせる
    第9章 時間を管理する
2.4で割れる数のグループを作り、グループごとに担当したいテーマ(章)を選ぶ
  • 簡単に対象章を確認させてから、どの章を担当したいかを決める。
  • グループ数は、4で割れる数になるように調整しておくと進めやすい。
3.各グループの希望を確認し、お互いに譲り合うようにして担当を確定する  
4.担当章の内容を各自が読んだ後、全体の概要、ポイントと思われる部分、自分が一番参考になる部分等を選びながら、A4の紙にまとめ発表の準備をする
  • A4の紙には、用意したカラーペンを使って自由にまとめる
  • 図や表、イラスト等を使って視覚的に表現することを歓迎する
  • 文字は小さすぎないよう、全員にサインペンを使わせる
  • 章ページは参照しながら話してもよいので、すべての内容を書き込まなくても良い(キーワード・箇条書きOK)
  • ミニポスターを用いてどのように説明するか、考える
5.完成した内容を、一人3分以内で説明をする(写真1)

 

 

img01.png

写真1

  • 同じ内容についてまとめた仲間の発表を見て、学び合う
  • 自分の発表で不足している部分があれば、ミニポスターに追加する
6.グループ替えを行い、ジグソー法(図1)のように、他章を担当した仲間とグループを組んで発表をする(写真2)

 

img03.png

図1

 

img02.png

写真2

  • 発表時間は、それぞれ6分ほど用意し、説明3分・質疑応答3分とする
  • 発表者以外にも、タイマー・まとめ役・質問役を決めて、必ず全員が何かしらの貢献をし、1発表につき、1回以上発言をする。
  • 最低2回は繰り返して行うことで理解を深める機会を設ける

実施のポイント:

  • 取りあげる章は、テーマごとつまり「学習設計マニュアル」の部ごとにまとめた方が良い
  • 通常は4人グループが4グループ以上できる。対象章が4つなら、4・8・16と割り切れる数のグループを作り、できる限り担当グループ数がすべての章で同じ数になるのが望ましい。
  • 同じ章を担当しても、学生ごとに異なる視点でまとめてくるので、バラエティに富む
  • 資料のまとめ方もさまざまで図中心・文字中心など個人差が出てくる
  • 短いプレゼンを数回繰り返すので、担当章については理解が深まる。

<期待される効果>

  • 基本的な内容を短時間で習得できる
  • 学習者の多様性を、説明を通じて体験から学ぶことができる
  • 複数回同じ内容について、説明する機会が設けられるため、理解が深まる
  • 説明することについての重要さ・難しさを体験し、工夫するようになる(挽回のチャンスがある)
  • 質問することの難しさを体験から学び、共同学習の場の構築を参加者(聞き手)としてどのように作ることができるのか試行できる。

<実施の限界>

  • 担当章以外の内容理解については、個人差が出る可能性がある。理解度を高めるなら小テスト等を行うと良い。
  • 発表準備を授業外・または授業内で行うかは、選択の余地がある。課題として出すことができなかった場合は、ミニポスター作成に30-40分程度の時間を確保することになるが、個人差・学力差が出る可能性がある。

3)学習目標分析と計画(第7回の授業)

各自が考えた学習目標に沿って、課題分析を行う。これによって、目標の精査と実現方法についての具体案を出し合う。ポストイットを使って貼り付けることで、修正しやすくする。

活動内容 補足
0.活動の意図・進め方についての説明  本活動は、授業最後に提出する「学びのデザイン」レポートの準備活動となる
1.学習目標の記述
(A3用紙の上部に一つ書かせる)
 すでに授業で扱った学習目標の書き方を参考に、自分の成長に寄与する学習目標を書く。あらかじめ最終課題の内容は示してあるので、学習者はなんとなくアイディアはある。
2.学習課題に関する説明  ここはレクチャーをする。課題として読ませておくこともできる。必要最低限の内容に絞る
3.目標達成のためにどんな活動が必要かポストイットに書く
  • 思いついたものから、1枚に一項目ずつ書く
  • ある程度たまったら、それを用紙に張り出す
  • 細かいやり方を指示はせず、お勧めのやり方を説明して、あとは本人たちのやり方に任せる。
4.書いた内容をグループで見せあい、コメントをする
  • テーブルごとに一人ずつ発表する
  • 時間を決めて行う
  • 必ず、質問または所感を述べる
5.もらった意見を踏まえて、修正を行う  
6.ミニレポートに書いて、学んだことを報告する  

実施のポイント:

具体的な学習内容を考えることで、学習目標について見なすことができる。
課題分析の基本的なやり方を体験する位置づけならば、学習目標はあらかじめ設定しても良い

<期待される効果>

  • 目標と方法の関係について整理できる
  • 方法を洗いだすことで、目標の見直しのためのアプローチを知ることができる
  • 学習内容が課題に繋がる

<実施の限界>

  • 1回実施しただけでは、目標の書き方も、課題分析も理解できるわけではない。
  • 時間がなければ、目標をあらかじめ考えてくるという事を宿題にする

参考資料

根本淳子・市川尚(2018)自分の学びをデザインする力の向上を目指した授業実践.日本教育工学会全国大会

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謝辞

本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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