IDマガジンご愛読の皆様、新年明けましておめでとうございます。さて今年はどんな年になるのかな、楽しみでもあり、心配でもあります。ま、苦しみもそれを乗り越える楽しみを与えてくれる試練だと解釈すれば、「楽しみでもあり、楽しみでもある」ですね。ID者は、なんといっても楽観主義でないといけませんから。どんなに厳しい条件でも工夫の余地はある、と考えることが『火事場のバカヂカラ』につながります。
そういうわけで、今年もまた、少しでも自分らのID道具箱を充実させて、いざというときに教育の専門家としての『バカヂカラ』が発揮できるように精進しましょう。プロの世界は、楽しいですね、ほんとに。まぁ、この状態を「楽しい」と思える人だけがプロとして長持ちできるのでしょう。
ヒゲ講師の年末年始は、平常心。というか、いつもどおりにせわしなく過ぎました。さすがに5日ぐらいはIDから遠ざかりましたけど。たとえば、正月らしくない年末年始に、こんなことをしました。
●教育システム情報学会誌に解説「教育・学習のモデルとICT利用の展望:教授設計理論の視座から」を執筆・脱稿しました。中身は、IDと学習科学の2つの領域が交流がないままに展開してきたが、『デザイン実験アプローチ』という研究手法によって交流点が模索されていること。IDの理論的基盤が行動主義・認知主義・構成主義と移り変わる学習心理学理論を背景に、広がっていること(eLFテキストで提案した行動・認知・構成主義の「持ち場」の図が掲載されます)。ライゲルースのGreenBookIIに収録されているID理論(認知領域の15種類)についての短い紹介。その中から、メリルの教授トランザクション理論とSTAR遺産理論の詳細な紹介、など。今月発刊される予定(第22巻1号)です。
●日本教育工学会研究会@長崎大学(1月22日)の発表原稿を2つ共同執筆しました。一つは、無料で使える教育用CMSの性能比較と選択ガイドラインの提案についてで、学部生の田中君が発表します。もう一つはフィジーの南太平洋大学での遠隔教育用教材作成チームの実態調査とIDワークショップの企画についてで、根本研究員が発表します。後者の論文は、英語に直して某国際会議に申込済み。査読の結果、採択されたかどうかの通知が2月に来る予定。それまでは「首を洗って待機」の状態なので、どこに出したのかは秘密にしておきます)。長崎大学での研究会プログラムの詳細は、下記のURLに公開されています。
http://www.nime.ac.jp/EduTech/files/20050122.html
●某情報教育事典に、「教材開発プロセス」、「インストラクショナルデザイン(授業設計)」、「AECT」他1項目を執筆・脱稿。「教材開発プロセス」はeLFテキストでも紹介したブロードベンドのプロセス(システムレベルとコースレベルの開発工程)を借用。「ID」の方は、この項目を2000字でどう書くかを悩んだ結果、「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して教材や授業を実現するプロセスのことを指す」という定義をして、効果・効率・魅力についての説明とその高め方の解説を書き下ろしました。「AECT」は「教育工学をはじめよう」をベースに執筆(ここでネタをばらしても仕方ないですがね・・・)。ヒゲ講師の周辺には「あぁ、あれかぁ。まだ書いてないんだよね。」と言うオオモノも多いので、いつ出版されるかは予断を許しませんが、そのうち陽の目を見る日が来るでしょう。
●日本教育工学会論文誌特集号「実践段階のeラーニング」の編集委員に就任。皆さん、投稿の〆切は2月7日です。どうぞお忘れなく、何か投稿してくださいね。「今後の普及のために必要な研究を幅広く扱った特集号」というスタンスで査読をしますので、eラーニングの実践についてこの際まとめて出してくださいね。投稿されてきた論文を査読するだけかと思いきや、同じ特集号に総説「eラーニングのためのインストラクショナルデザイン」の執筆を引き受ける羽目に陥ってます。総説は、編集委員会の依頼により「特定の主題について分野外の者にもわかりやすく解説したもの」だそうなので、教育工学事典向けに2000字に詰め込んだ中身を約4倍に発展させていくことになるでしょう。この依頼原稿は〆切は2月末日、今年の10月に発刊予定です。ご期待くださいませ。
投稿の呼びかけ文は下記のニュースレター4ページにあります。
http://www.jset.gr.jp/letter/pdf/JSET132.pdf
今年もIDマガジンをご愛読いただきますよう、よろしくお願いします。
(ヒゲ講師 記す)