トップIDマガジンIDマガジン記事[048-02] 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(44) ~花火大会にも行かないお盆の過ごし方~

[048-02] 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(44) ~花火大会にも行かないお盆の過ごし方~

今年のお盆は暑さが半端ではない熊本に3泊4日の滞在中。その前後は出張のため、洗濯物を片づけに帰ってきたようなものですが、人気が少ない休日は仕事がはかどるのも、これまた事実。昨年の夏は師匠のお供で花火だロープウェイだと休日を満喫できましたが、来客がないと仕事をしてしまうのも我ながら情けない。まぁそういうことにも慣れてしまった私がいます。

さて、ある研修講座の修了試験問題として次のケースを考えました。皆さんだったらどう答えますか?

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ケースC:
あなたは、多様なクライアント向けの多様な範囲の研修を開発する小さなコンサルタントのティング会社で働いている。最近、「同じ形の古い研修教材」にうんざりしたというクライアントがあなたのもとにやってきた。そのクライアントは、やる気や自信が高くてイノベーティブな思考を高く評価されて雇われたばかりの新人MBA保持者がいくつかの難しい学習課題に取り組むための、新鮮な研修方法を探していた。内容は、大規模な金融会社に必要な安全対策の利用方法(とそれを尊重する姿勢)を教えるというものだった。彼らの士気を減退させずに、主要なリスクを回避する準備をさせるために有効な研修方法が求められていた。彼らには多額の資金があり、標準的な研修のように見えたり、感じたりしない方法を提案して欲しいと持ちかけられた。さて、何をポイントにして研修を提案すればよいだろうか? 逆に避けるべきことは何だろうか?
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この試験問題は受講生には開講時に伝える予定なので(それがIDのやり方ですからねぇ)、ここで漏れてもあまり問題にはならないでしょう。何を見てもよいオープンブックの持ち帰りレポートだし、採点基準ももちろん知らせます。ケースCとあるのは3つのうちの書きやすいものを選択してもらう予定だということ。でも、ケースを考えたと言っても、これは前回の活動日誌(43)で出版を予告した翻訳本から借用してアレンジしたもの(ちなみにあとの2つはオリジナルの予定で考え中)。使えるものは何でも使う折衷主義だ、と言えば言えないこともない?

ちなみに、翻訳本のタイトルは「インストラクショナルデザインとテクノロジ:教える技術の動向と課題」に決まりました。価格は700ページに膨れ上がった専門書としては破格の低価格にしてくれそうです(ご期待ください)。

この研修講座では、修了試験問題の前に「練習ケース」を用意しました。ついでにそれも披露しましょう。

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「練習ケース」
シナリオ:ある中小企業の教育担当者から、社員に知財についての基礎知識を学ばせたいが独自の教材を開発したり高額な研修を受講させる余裕がないとの相談を受けた。科学技術振興機構(JST)が無料で公開しているWebラーニングプラザに「知財」に関するコースが3つ用意されているという情報を手に入れたあなたは、この教材を活用することを盛り込んだ研修の提案をまとめようとしている。

Webラーニングプラザ
http://weblearningplaza.jst.go.jp/

5観点のチェックリストを用いて、次の3つを含む意見を書いて掲示板に投稿してください(書き込み1件と、他者の書き込みに対する相互コメント1件以上でクリアとします)。

【強み】:Webラーニングプラザが提供する機能のうち、この案件に役立ちそうなものは何か
【弱み】:Webラーニングプラザには不足していることで、この案件を成功させるために付加したい要素や取り組みは何か
【留意点】:Webラーニングプラザの活用にあたって、どんな点に注意したら効果的な使い方になりそうか

※書き込む際には、【強み】【弱み】【留意点】のラベルを使って、3つが一つの書き込みの中に網羅されていることを確認できるように配慮してください。
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まぁどこかで聞いたことがある題材だ、と思う人はヒゲ講師との付き合いが長い人でしょう。使えるものは何でも「いつまでも」使う折衷主義なのか、単なるものぐさなのか?

ついでにその前には「ID5観点のチェックリスト」をまた少し手直しして、21問の理解度チェック三択クイズまで準備。相当力が入っていますねぇ(なぜだか・・・)。

例えば、こんな問題:
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(1)出口:次のうち、研修の成果を「学習時間の長さ」ではなく「学習成果の到達度」で判定しているものはどれか
○研修時間に全部出席すれば認定されるもの
○研修の最終課題を出せば認定されるもの
○提出した最終課題に対して講師からレポートの修正を求められることがあるもの
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出口から設計して、徐々に基礎に戻って組み立てることで、無理なく出口へと誘う。このようなやり方を、自分が設計する研修講座にも適用して「“Practice what you preach”が実現してますね」と気づかせねばならない。紺屋の白袴だと言われては面目丸つぶれになるのだから。当然この研修講座でも、最終レポートの出来具合によっては修正が求められることがある、と注記してある。最終課題には、いつもの「3つの収穫」を書かせる省察課題も入れてあるので、受講者諸氏が何に気づいてくれるかを楽しみにしよう。

そうこうしているうちに、ヒゲ講師の夏はまた過ぎていくのでありました。

(ひげ講師記す)

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