トップIDマガジンIDマガジン記事[058-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(54)~鈴木流・学習環境設計術10か条~

[058-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(54)~鈴木流・学習環境設計術10か条~

熊本大学でeラーニング専門家養成の大学院を始めて10年目になる今年度、様々な企画を同窓会が世話してくれている。頼もしい限りである。このIDマガジンの発行も同窓会に委ねることになった。これで滞りがちであったマガジン発行も軌道に乗ってくれることと期待したい。

10年目の同窓会行事の一つとして「あのeラーニングワールドで毎年やっていた屋形船を復活しよう」プロジェクトが行われた。8月22日のことである。折角だから、屋形船のために集まるという色を少しでも薄くするために(・・・)、セミナーも企画してもらった。早稲田の向後千春さんとヒゲ講師が対決するという構図で、「○○流」と銘打って、それぞれの思いの丈を述べた。ヒゲ講師は「鈴木流・学習環境設計術」を以下の10か条にまとめた(なんと、ヒゲ講師=鈴木ということが直接的に明るみに出たのは今回が初めてかも知れない)。

(1)講義と期末試験をやめる(反転授業・学習)
(2)再利用できるものをつくる(教材シェル:LO)
(3)くすぐってその気にさせる(教えない授業)
(4)体験を次に伝える仕組みをつくる(ランチョン)
(5)学習者の文脈を想像する(ユースケース)
(6)現場で組み立てる(オーダーメイドの教育)
(7)手ぶらでは集めない(アクティブラーニング)
(8)今までの要素を再定義して一つだけ付け加える
(9)やるべきことをやる(Practice What You Preach!)
(10)常に最先端の実験場たれ(率先垂範)

これまでにいろいろとやってきたけど、結局のところ、教育提供者側が手を抜くことで学習者の自律を助ける(邪魔しない)というのが目指してきたことなのだと気づいた。やはり親切過ぎるのは(押し売りは)よくない。提供者としては「よくやった感」があっても、受ける側の学びは限定的になってしまう。単なる放任ではなく、仕掛けをつくって実行責任を移譲する一方で結果責任は負うという姿勢を堅持する。矛盾しているようだが、そこからアウフヘーベンして新しいものをどんどん作っていかなければならない。モノ作りは楽しくてやめられませんね。

この10か条がとても気に入ったので、ランチョンセミナーで3回シリーズで取り上げてもらった。アーカイブもありますので、ぜひご覧ください。

さて、次の10周年記念行事は何だろうか。同窓生が次々と仕掛けてくるイベントを楽しみながら、10周年が終わったら次にどういう方向性を模索すべきかを考えていこうと思う。

(ヒゲ講師記す)

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