トップIDマガジンIDマガジン記事[072-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(68) :ID の前提(病院版):同意できますか?

[072-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(68) :ID の前提(病院版):同意できますか?

第10回日本医療教授システム学会総会で教育講演を依頼された。お題は「インストラクショナルデザイン再考」。ID最高!ではなくID再考だった。さて何をどう考え直そうか。ちょうど、大学教育を念頭に作成したワーク「IDの前提」をある病院の研修で使ったところ違和感があったので、「IDの前提(病院版)」を試作・公表することにした。『教材設計マニュアル』から『研修設計マニュアル』への展開を背景に、「IDの前提」も項目を組織での学びに見直したものが欲しいなぁ、と思っていた矢先だったので、渡りに船だったと言えよう。

しゃべり倒さないスタイルの教育講演が実現できたことで、何らかの「再考」のきっかけになったとすれば、それも嬉しい(個人ワーク+ご近所ディスカッション+全体討議で構成した)。当日映写しただけの15の問いを引用可能な形にいつ公表してくれるのか、という要望もあったので、これまた「渡りに船」、ここで広く世に問うことにしたい。(病院編)を(組織編)あるいは(研修編)と読み替えれば、医療機関以外でも使えるものになっていると思う。ぜひ、ディスカッションのネタとして使ってみてください。

(ヒゲ講師記す)

追記:ついにマニュアルシリーズ第4弾『学習設計マニュアル:「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン』がアマゾンでの予約販売を開始しました。書店に並んだら、ぜひ一度手にとってご覧ください。

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ID の前提(病院版):同意できますか?
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個人ワーク:次の各項目に対し,〔賛成・保留・反対〕のどれかを選択し,選択理由を一言ずつメモしましょう.
セミナーの前後で〔賛成・保留・反対〕がどう変化する(した)か,確認しましょう.

〔セミナー受講前〕 → 〔セミナー受講後〕
1) 人によって学習ペースは違うが,その人にとって十分な時間をかければみんな最後には学習目標を達成し、任せられる仕事が徐々に増えていく(時間モデル)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

2)全部覚えていなくても仕事はできる。必要な情報を参照しながら、他者に助けられながら仕事をする中で、必要な知識・スキルを自然と身につけ、自分一人でできる仕事の範囲を徐々に広げていくのが学びである(経験学習)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

3)人は、情報を受ける(インプット)だけでは学べない。学習者が自ら活動して、自分なりの知識を組み立てていくのが効果的な学習方法であり、頭と身体、記憶と応用力ではそれぞれ最適な練習方法が異なる(9教授事象、構成主義)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

4)人は失敗をしてその原因を追究しようとすることで学ぶ。失敗したときにその理由を考えさせ、次に挽回のチャンスを与え、成功事例を広げていくのが、一人前になるために効果的である(事例駆動型推論)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

5)それが許されることであれば、いつ使うかわからないことを予め全部学ぶジャストインケース型よりも、必要性を感じながら直前に学ぶジャストインタイム型の研修タイミングがよい(状況学習論)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

6)教えようとすればするほど自主性を奪う結果になりかねない.親切の押し売りは避けて、自分で選択・制御させて責任をもたせ、「自分事」だ、自分がやらないと前に進まないのだと覚悟してもらうのがよい(成人学習学)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

7)良くできるベテランがうまく教えられるとは限らない。教え方の専門性を学ぶことが効果的な指導には必要(汎用性)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

8)ベテランの暗黙知は、新人が経験の積み重ねのみで同じ年月をかけて身につけるのを待つのではなく、できる限り短期間に身につけられるように形式知化して、やり方を教えてしまうのが良い(教育の科学化、GOLDメソッド)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

9) 学習支援に役立つ基礎理論や他者の実践ノウハウは,適材適所で何でも真似して活用してよい(折衷主義)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

10) 学習の評価は、総学習時間数(プロセス)ではなく,学習成果で行うべきである(履修主義でなく習得主義)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

11) 到達すべき目標をすでにクリアしていることが確認できた者には、研修なしで仕事を担当させてよい(事前テスト)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

12) 大人相手の教育者の責任は、最低合格条件を学習者に明示して複数回のチャンスを与え、一人でできるように導くことであり、各学習者が実際にそこに到達するかどうかの責任を負うことはできない(学習者制御)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

13) 教える努力がなされたことではなく、学びが成立したときに初めて「教えた」とみなす。「教えたつもり」と「教えた」を区別することが教育改善の第一歩である(成功的教育観)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

14) やる気のない学習者を放置せず、その気にさせようと工夫することは、大人相手の教育担当者の責任範囲にも含まれる(動機づけ設計、ARCSモデル)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

15) 大人相手の教育を小学校のようにしてはいけない。学習方法もやる気も自分で選択・制御させて、学ぶ責任は自分にあることを明らかに伝えるのがよい(自己主導学習)
〔賛成・保留・反対〕→〔賛成・保留・反対〕メモ:

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