トップIDマガジンIDマガジン記事[101-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(89):ヒゲ講師高校生800人をアジる!

[101-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(89):ヒゲ講師高校生800人をアジる!

ヒゲ講師は10月7日熊本市内のとある高校のアクティブラーニングルームにいた。「“学び方を学ぶ”を学ぶ」というタイトルで50分間の講演を頼まれたからである。相手は高校1~2年生合計800人。ソーシャルディスタンスを保つため全員一堂に会するのではなく、各教室へのオンライン配信での講演となった。そばに誰もいないとやりにくいだろう、という配慮で各クラスを代表する生徒約20名がアクティブラーニングルームに集合。全員マスク着用だから表情は伺い知れなかったが、話を聞きながら時折、うなずいてくれる様子が即時フィードバックとなって進めやすかった。

 

この高校は文科省指定のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)として、主体的な学びを支える授業づくりと教員研修に取り組んできた。ヒゲ講師は4年前から運営指導委員を拝命し、年1回の「主体的学びフォーラム」への登壇は函館からの遠隔参加となった昨年度に続いて連続2回目。大学1年生向けに出版した学び方を学ぶためのテキスト『学習設計マニュアル』を高校生なりに学んでいる上客集団。日頃のご愛顧に感謝しての登壇となった。

 

ヒゲ講師曰く、学校の授業で扱うのはごく一部。あとは主体的に自分で学び、練習問題を解いて、友人と答えを交換することでテキストを使い倒してほしい。記憶することも大事だが時代はそれ以上を求めている。新学習指導要領しかり、OECDの学びの羅針盤しかり、国際バカロレアの「知の理論」もある。隣の大分県にあるAPU出口学長は、学びは「本、人、旅」だと教えている。皆さんのこのテキストでの学びも、本を通した著者たちとの良き出会いでありますように、と結んだ講演は時間通りに終わった(さすが、と自画自賛・・・)。

 

講演後は各自の活動を省察したあと、一人一台持っている端末から講師への質問を入力。それが集約され下から上に流れるように表示されるモニターを見ながら司会の先生が質問をピックアップして講師が答える時間がたっぷり20分。そのあとに各自が学びを省察して「振り返りのForum」に書き込む時間があり、高校の1・2時間目(合計100分)を割り当ててとても良く設計された楽しい時間だった。

 

じつは本当の楽しみはこのあとに来る。「振り返りのForum」に書き込まれた800人分の省察コメントを読むときこそが至高の時間(だといいなぁ・・・)。これまでにもこの高校で『学習設計マニュアル』を使い始めて以来、節目節目でまとめられた省察コメントが生徒に配布する「リフレクション通信」として送られてきていた。毎回、それを執筆者と共有して、その反応の豊かさを味わい、この教科書は高校生にも読めるんだ、という驚きを経験させてもらってきた。さて今回の講演がどのような反応を引き出せたのだろうか。高校生800人を相手にしても、しゃべりっぱなしでは終われないヒゲ講師であった。

 

そう言えば、似たようなタイトルでIDマガジンを始めた頃にこの連続日誌を書いたことがある。第2回目だから17年以上も前の話なんですね。あのときも大福帳に記入された300人分のコメントに一喜一憂していたことまで報告していた。コメントに励まされて出来栄えを確認し、次のエネルギーにするというスタイルは、どうも長い間変わっていないらしい。実は、今回のタイトルはIDマガジン100号突破を記念して、その時を思い出してつけたもの。当時と同じで、今回も高校生を悪い方向に導いたわけではない(と思っている)ので、念のために申し添えておきます。

 

非常事態宣言解除を受けて、直接お会いできる機会が増えることを願っています。それまでどうぞお元気で。

 

(ヒゲ講師記す)


 

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