━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2020年10月9日━━━━
<Vol.0090> IDマガジン 第90号
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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
涼しくなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回も、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
今回のコンテンツメニューはこちら↓
《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(83) :ノマド生活再開するもオンラインの嵐は続く
2. 【ブックレビュー】『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』谷口忠大 文春新書(2014)
3. 【報告】第46回まなばナイトレポート「『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』を読んで~監訳者 鈴木克明先生に聞きたいこと~」
4. 【ご案内】第47回まなばナイト「オンラインでのグループワークやWSの実践報告」
5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記
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【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(83) :ノマド生活再開するもオンラインの嵐は続く
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2020年9月25日「新型コロナウイルスの流行に伴う本学の対応について(第20報)」が大学当局から発信され、ついに県境をまたがる出張が原則解禁となった。公式に、である。それ以前から「上長の許可をもらって」の出張は部分的に(非常事態宣言地域を除き)解禁されていた(ヒゲの上長=センター長=自分だったりするので、あまり大きな声では言えない部分あり)。再開されたノマド生活はぎこちない部分がある。当然毎日飛んでいると思っていた路線が週2便だけになっていて、移動したい日には経由便しかなかったり、そもそも某空港に行くリムジンバスが大幅減便になっていて空港ラウンジ滞在時間が長くなったり、はたまた全車指定席である特急の予約を忘れて乗り損ねたり、と、いろいろと、ぎこちない。
まぁそれでも、自宅軟禁状態が続いてコロナ太りになっていたヒゲにとっては、ようやく訪れた自由! 「基礎疾患を持っている老人だということを意識して、注意を怠らないようにしてくださいね。カラオケはNGですよ」という若者からの忠告に老いてはしたがいつつ、ぎこちなく、しかし徐々に、出張続きのノマド生活が戻ってきた。つい最近は13泊連続。例によって、機内持ち込み可能な荷物のみで、旅先での洗濯物マネジメントも視野に入れて各地を訪れている。ということでコロナに罹患したくない方は、あまりヒゲには近づかない方が良いですよ。どこでウイルスをもらっているか、足取りを追うのが大変ですから。
他方で、オンラインのお仕事は急増している。せっかく久しぶりの現地での研修会開催と思いきや台風で中止になったり、あるいは最小催行人数を下回ったので中止になったりもするが、最初からオンラインで、というケースが増えている。オンライン前提だと旅費がかからないし、頼みやすいのだろうか。それとも時宜にかなった話が聞けると思われるからだろうか。引き合いは多くなった感じがしている。一過性のものだろうか、それとも今後しばらく続くのだろうか。現地への移動や現地での食事を楽しむことができないのは残念だが、身体への負担は軽減されるので、勢い引き受けてしまう。先日などは、「その日は先約があってNGです」と断ると「それでは、事前録画でお願いします」と切り返されて、断る理由を失った。お座敷がかかるうちが華、ということで、しばらくやってみましょうかね。
研修以外もオンラインのオンパレード。オフィスアワーは学生に会うのがNGだし、東京オフィスは週末クローズなのでオンライン。全国大会も国際会議もオンライン(本部詰めで現地に入れるラッキーなものを除く)。各種の委員会もオンライン、公開講座もオンライン。修士論文の中間審査もオンライン。まなばナイトも読書会もオンライン。プロジェクト会議も共同研究もオンライン。バーチャル背景を駆使したり、下半身は寝間着のまま参加という技も自然と当たり前になってしまった。「いまどこですか?」「私はここにいます(と、ごまかす)」という会話にも慣れた。
これがヒゲの「ニューノーマル」なのだろうか。外からの断りにくい仕事を何とかマネージして、今取り組んでいる監訳が一段落したら、5冊目の執筆作業に時間を確保したい。それができれば、これが「ニューノーマル」でも構わない。そう思う、今日この頃である。ホテルは温泉付きで朝食がおいしいところになるべく泊まる。たまには、本当の温泉に居ながらオンライン会議に参加する。そんなことができれば、結構我慢できることも分かった。いや、解禁直後だから、だけかもしれず、いつまで続くかは分かりませんけど。
皆さんは、どんな生活でしょうか。どうぞご安全に。
(ヒゲ講師記す)
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【ブックレビュー】『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』谷口忠大 文春新書(2014)
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IDマガジン編集部からブックレビューの依頼をいただきました。(「大学院の同期に売られた」とも言います。)
熊本大学大学院教授システム学専攻(通称GSIS)を何とか修了したばかりの小心者の私は、「GSISにもハンター試験のような裏試験1)があるってこと?」とドキドキしています。
何事も段取りが大切ですから、IDマガジンの読者に興味を持ってもらえそうなID関連の本を探して読みつつ、ブックレビューについて学習するところから始めてみました。
いくつかのウェブサイトを見ていたら『ビブリオバトル』という単語が目に留まりました。
何やら面白そうではありませんか。
ビブリオバトルとは、「『人を通して本を知る.本を通して人を知る』をキャッチコピーにした本の紹介コミュニケーションゲーム」(ビブリオバトル公式ウェブサイト2)より一部改編して引用)とのことです。
興味をひかれた私は、さらに理解を深めるためにタイトルにもあげた新書『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』を(Kindleで)読んでみることにしました。
前述の公式ウェブサイトにも記載されていますが、ビブリオバトルの公式ルールは以下の4つです。
1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2. 順番に一人5分間で本を紹介する。
3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。
本書では、学校や企業で導入されたり、地域のイベントとして実施された実例がいくつもあげられていました。
そして、本を紹介し合うだけではない、ビブリオバトルのコミュニティ開発機能についても触れられていました。
「ビブリオバトルには『本を紹介する』という自然な活動の中で、発表者の人となり、個性、知識、背景などをコミュニティ内で共有していく機能がある。」、「一回限りのビブリオバトルではなく、コミュニティの中で繰り返し行っていくことで、徐々にコミュニティ内の相互理解を深めていくことができる。」と記されています。
さらに、これらの学術的背景・要素については、ビブリオバトルについて記された論文3)で詳しく解説されています。
この論文は学術論文なので無料で全文を読むことができます。興味のある方はぜひ目を通してみてください。
本書には、以下のような要素が組み込まれています。
(1)「本との出会い」という現実に起こりそうな問題に挑戦させてくれます。
(2)本との出会い方やプレゼンの仕方など、すでに知っている知識を動員させるような仕掛けになっています。
(3)ライトノベル型式での例示があり、実際のビブリオバトルをイメージしやすくなっています。
さらに、(4)ビブリオバトルを運営する際の注意点を提示してくれていて、応用するチャンスを提案してくれます。
そして、(5)振り返り法まで提示することで、現場での活用や振り返るチャンスが身近にあって、自分でもできそうだという気にさせてくれます。
このように考えると、メリルのIDの第一原理に則った非常にID的な本なのでした。
本好きとしては、未知の本との出会いはワクワクする出来事です。
この本を読んで、私も身近な人を誘ってビブリオバトルをやってみようと思いました。
このレビューを読んでビブリオバトルに興味が出た方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。一緒にやってみましょう。
そんなことを文章にしていたら、せっかく複数のID本を購入して読んだものの、ブックレビューで取り上げる余裕がなくなってしまったのでした。
紹介できなかった本は、(機会をいただければ)次回のブックレビューやビブリオバトルでご紹介しますね。
さて、こんな文章で裏試験に合格できるのでしょうか?
【参考文献】
1)富樫義博(1999)HUNTER×HUNTER 第7巻. 集英社, 東京, p122
2)知的書評合戦 ビブリオバトル 公式ウェブサイト. http://www.bibliobattle.jp/ (2020年9月10日閲覧)
3)谷口忠大, 川上 浩司, 片井 修(2010)ビブリオバトル:書評により媒介される社会的相互作用場の設計. ヒューマンインターフェース学会論文誌, 12(4): 427-437
(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士13期修了生 宮道 亮輔)
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【報告】第46回まなばナイトレポート「『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』を読んで~監訳者 鈴木克明先生に聞きたいこと~」
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新型コロナウイルスの影響により、「新しい生活様式」を取り入れながら様々なことに取り組んでいく毎日は試行錯誤の連続です。ただし、どのような状況下でも教育は進めていかなければならず、現場で教育設計などにご苦労されている多くの皆さんに参加いただき開催することができました。
オープニングでは、熊本大学大学院教授システム学専攻(GSIS)同窓会地区活動実行委員会中部地区代表の大石奨から、毎年名古屋で開催している会がこうしてオンラインで開催することになりました。皆さんとは直接お会いできずに残念ですが、これまで参加できなかった全国各地の皆さんが集まれることはとても有意義なので楽しんでくださいと挨拶がありました。そして、まなばナイトはお酒を飲みながらワイワイガヤガヤと楽しむ会ですので、各自ご準備いただいたお飲み物で乾杯をして会が始まりました。
第46回まなばナイトで話題提供をしていただくスピーカーは、GSIS前期担当専攻長であり熊本大学教授システム学研究センター(RSIS)センター長の鈴木克明教授です。テーマは、新著「学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル」として、話題提供は監訳された著書の内容についてプレゼンをしていただきました。
いつものまなばナイトであれば、参加者の皆さんとワイガヤと対面でディスカッションするところではありますが、オンラインであるために事前課題として著書の中で(1)私が一番興味を引いた部分、(2)私の仕事で活かそうと思った具体策、(3)私からあなたへの提案、(4)監訳者 鈴木克明先生に聞きたいこと、4点を当日までにまとめていただく形式を取りました。
鈴木先生の話題提供後、Zoomブレークアウト機能を用いて6人グループで事前課題をもとにワイガヤをしていただきましたが、どのグループを覗いても盛んなやり取りが行われていることは印象的でした。また、グループ内のファシリテートをしていただいたGSIS、RSIS関係者の皆様、ありがとうございました。
後半は、鈴木先生に聞きたいことをグループ内で2つまでに絞っていただき、それを直接お聞きする時間です。ボリュームのある事前課題をクリアされてきた方々ですから、多様な角度からのご質問をいただき、鈴木先生も一つ一つの質問に丁寧な回答をいただき、事務局の私もメモをとるのに一生懸命でした。
最後は、クロージングとしてGSIS同窓生の佐久間あゆみさんからは、第46回まなばナイトに参加いただきありがとうございました。今回は、オンラインでいつも参加できない方も参加できて良かったのではないかと思います。第46回は鈴木先生監訳の本という共有の本を読んで、それぞれの立場であったり考え方を踏まえて各グループでディスカッションできたことはすごく良いなあと思いました。また、そこの中から出た疑問をみんなで鈴木先生からお答えいただいたことは大変有意義でした。また、お会いしましょうとのお言葉をいただきました。
第46回まなばナイトは、コロナ禍の大変な状況下で59人の参加をいただきました。終了後のアンケートからは、中部地方での対面まなばナイトではなく、全国、いや世界各地から参加できる方式を続けてほしいとの多くの意見もいただきました。試行錯誤での第46回ではありましたが、皆様のご協力をいただき終了できました。ありがとうございました。そして、質疑応答で円滑な進行をしていただいたGSIS博士前期課程の天野裕香さん、Zoomに関することをお引き受けいただいたGSIS博士後期課程の鈴木真保さんにも心から感謝申し上げます。
(熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 大石 奨)
○写真入りレポートは以下をご覧ください。
https://www.manabanight.com/info/manabanight46report
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【ご案内】第47回まなばナイト 10/24(土)「オンラインでのグループワークやWSの実践報告」
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今年の2月頃からコロナウイルスの話題が出始め、各大学や企業は完全オンライン授業を余儀なくされたところも多く、未だ大学は対面授業が絞られているところが多く見受けられます。
そんな中、グループワークやワークショップを実施している方々も多く見受けられます。
大学や企業により使用しているツールは異なるものの、使いやすいツールは気になるものです。
実際に使用されたツールをご紹介頂きながら、どのようにグループワークやワークショップを実現されたかをお話頂きます。
是非奮ってご参加ください!!
今回はZoomにてオンライン開催です!いつも東京に来られない方々も参加可能です。
参加される方には前日にZoomへの招待メールをお送り致します。
※迷惑メールに振り分けられていることもございます。必ず前日までにご確認ください。
当日開催時間中は事務局が確認出来ないことがございます。
メールが届いていない方は午前中までに必ずご連絡ください。
- 開催日時
2020年10月24日(土)午後5時~午後7時30分
- 会場
オンライン(Zoom)
- プログラム
--- オープニング ---
熊本大学教授システム学研究センター センター長 鈴木克明教授
--- セッション1 ---
話題提供
・西村 恭子さん(使用ツール:miro):10期生
神戸女子大学 非常勤講師
・田中 洋一さん(使用ツール:Jamboard)
仁愛女子短期大学 教授
・關谷 暁子さん(使用ツール:miro)
北陸大学 医療保健学部医療技術学科 准教授
-----余 談-----------------------------------------------------------------------
・淺田 義和さん:9期生
自治医科大学 情報センター 講師
「シンポジウムでのZoomとSlack利用」
・北川 周子:10期生
株式会社エデュプレイ
「MoodleにGoogleログイン使ってWSツール使ってみた」
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--- セッション2 ---
グループにわかれてディスカッションを行います。
--- クロージング ---
熊本大学教授システム学研究センター センター長 鈴木克明教授
- 参加費
無料
詳細、申し込みフォームは下記ご確認ください。(先着90名)
https://www.manabanight.com/event/manabanight47
問い合わせ先:
まなばナイト事務局 info@manabanight.com
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【イベント】その他、近々行われるイベントは? 2020/10~2020/11
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2020年9月20日 (日)~2021年2月7日 (日)
日本医療教授システム学会「医療ID・実戦事例研究会」@田町・オンライン
2020年10月17日 (土)~2020年10月18日 (日)
2020年度日本教育メディア学会第27回年次大会@オンライン
2020年10月25日 (日)
日本教育工学会研究会「教育の情報化/一般」@オンライン
2020年11月14日 (土)
教育システム情報学会 2020年度第4回研究会「スキルや経験に関わる学習支援法や支援環境/一般」@和歌山大学
2020年11月21日 (土)
人工知能学会第90回先進的学習科学と工学研究会(SIG-ALST)@オンライン
2020年11月27日 (金)~2020年11月28日 (土)
第32回教育学習支援情報システム(CLE)研究発表会@オンライン
★ 編集後記
IDポータルサイトがリニューアルされたこと、お気づきでしょうか?URIも変わりました(https://idportal.gsis.jp/)。
IDマガジン配信システムも変わり、今回が初発行です。無事に届いているといいのですが・・・。
今後も引き続きIDマガジンおよびIDポータルをご愛読いただけますと嬉しいです。
(第90号編集担当:高橋暁子)
よろしければ、お知り合いの方に、Webからの登録をお勧めしてくださいませ。
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ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
【 mail to: id_magazine@mls.gsis.kumamoto-u.ac.jp】
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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編 集 編集長:鈴木 克明
ID マガジン編集委員:根本淳子・市川尚・高橋暁子・石田百合子・竹岡篤永・仲道雅輝・桑原千幸
発 行 熊本大学大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻同窓会
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