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IDマガジン第6号

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  • ID マガジン第6号
  • いかに企業内研修へIDを浸透させるか?
  • 第2弾 精緻化理論(Elaboration Theory)
  • 慌しい夏が終わり秋になりました
  • イベント情報
  • [06]編集後記

IDマガジン第6号 はじめに
皆様

ID マガジンのご愛読ありがとうございます。

あっという間に10月です。だんだん寒くなってきました。寒がりの私は、そろそろ暖房に頼らなければいけなくなりつらくなってきました・・・。みなさまも、気候の変化で体調を崩さないようにしてくださいね。

いかに企業内研修へIDを浸透させるか?
はじめまして。NECユニバーシティの櫻井です。
企業内研修部門に異動してまだ10年、社内でスタートした「遠隔教育プロジェクト」に参画したのを契機としてe-Learningに関与したのも5年前と、この分野ではまだまだ“駆け出し”です。教育学なるものにも全くの門外漢であった私が、昨年、IDの重要性に改めて気づき(≒鈴木先生に洗脳され)、遅まきながら自社グループ内にIDをどう根付かせるか、日々悪戦苦闘しています。

本稿では、企業内研修におけるID適用と現状と、その効果的活用の拡大に向けた個人
的見解(野望?)を述べさせていただきます。

※みんな揃って「IDer」??

先日も、全社レベルのe-Learningに関する打合せでこのような発言がありました。
“e-Learningの推進拡大のため、コンテンツの品質を向上させることが不可欠だ。しかし、その対策としては単にインストラクショナルデザイナー(以下、IDerと表記)を多数養成すれば解決する問題なのだろうか?”

皆さんは、どうお考えですか?

私の意見としては、企業内研修部門のメンバー全員がIDを深く理解しこれを利活用して研修を開発運営することは理想の形であり、この文脈のもとで“みんな揃って「IDer」”であるべきだと考えます。もちろん、これが唯一の必要十分条件ではありませんが、一番重要な必要条件です。しかし、“(現状の)企業内研修部門のメンバー全員がIDerであるべき”と表現すると誤解されてしまう恐れがあります。それは、「IDerの職務範囲に関する認識のずれ」があるからです。以下、企業内研修部門におけるIDの実態に沿って説明(釈明?)します。

※人材開発スタッフもIDを勉強しよう(野望その1)

当社の属するグループの例で言えば、研修部門は概ね以下のようなグループで構成されます。
(1) 本社人事部の教育担当者
(2) 各事業ライン別人事部門の教育担当者
(3) 各事業部別教育委員会の委員
(4) 教育研修の開発運営を担当する部門(or関係会社)の社員 ←私が所属しているのはここです。
IDerという言葉自体が世間一般ではまだまだ認知度が低いことはさておき、IDなるものについて少し聞きかじった人々にとっては、「IDer」と言ってすぐに想起できるのは(4)だけでしょう。一方、(1)から(3)に属するメンバーにとって、自分をIDer呼ばれることに対しては少なからず違和感を感じるでしょう。これらは、即ち、 “IDerとは、ID理論に基づき研修コンテンツを開発する人である”と、その職務範囲を狭く誤解していることが原因です。

(1)から(3)に所属するメンバー(以下、人材開発スタッフと表記)は、人材育成計画をベースとして研修体系の企画検討することや、研修運営管理システムの構想設計が業務の主体であり、これらを具体的に実現するフェーズ(即ち、研修と研修システムの開発運用)は(4)に委託します。しかし、こういった研修体系や研修システムを検討する際にも、研修はどうあるべきかという基本的な問いに対する知見を提示するIDを取り込むことは必要不可欠です。“学習者にとって最適な学習環境(学習システム)を設計構築する人”、いわば「ISDer」とでも言うべき役割を担う人もまた、IDを深く理解したIDerであるべきです。現在、人材開発スタッフは「HRD(Human Resourse development)」に対しては十分な知識を持っているのですが、残念ながら、IDについてはあまり関心がないようです。人材開発スタッフは、IDに関連する業務の専任職である必要はありません。しかし、IDerだと言われて恥じないような知識とスキルを保持すべきではないでしょうか。人材開発スタッフにもIDをしっかり学習してもらうよう、啓発していきたいと考えています。

※講師経験こそが、ID理解の必須条件(野望その2)

他方、(4)に所属するメンバー(以下、研修実施部門と表記)はIDerだと言い切れるかと言えば、必ずしもそうではありません。IDに関する質問を投げかけられた時、表面上の答えと実態は以下のような乖離があります。
「IDを(知識としては)知っている」
「学習目標は(いつもとはいえないが)提示している」
「達成レベル(曖昧な表現ではあるが)は規定している」
昔、企業内教育部門では、自らが研修カリキュラムの詳細を開発し“講師”として登壇するメンバーが多数を占めていました。彼ら全員がID理論を体系的に学習し十分に理解していたとは言い切れません。しかし、長年にわたる“リアル研修”の実地経験がIDとつながる“暗黙知”を一人ひとりのノウハウとして形成していたはずです。その意味において、彼らはインストラクターであるとともにIDerだったと言えます。しかし、全社共通業務部門やスタッフ組織のスリム化が進み、このような専任“講師”の人数も減少しています。逆に、現在の企業内教育部門では社内外のSMEを招聘して研修を実施する“仕切り屋”的な業務の比重が大きくなっています。こういった業務形態に移るに従い、“講師”としてのIDノウハウやIDそのものに対する重要性認識が薄まるばかりではなく、組織としてのID力が低下していることは否めません。研修部門(1)から(4)の全てにおいてIDの重要性を再認識することが重要であるとともに、(1)から(4)のメンバー全員、自らが何らかの形で“講師”としての経験を継続しIDを実践する場を持ち続けることでID力の向上改善に努めるよう、関係部門へ提言していきたいと考えています。

※IDをしくみに組み込もう(野望その3)

近年、技術革新やマネジメント手法進化のスピードが増大する中、最新の技術や手法に関する研修ニーズも高まっています。これに対し、研修実施部門(4)では社内外のSME(Subject Matter Expert)を招聘して研修を実施します。社外講師で対応する理由は、内部講師の増員が基本的には認められない中、非専門家である内部講師ではとてもこの技術変化のスピードをキャッチアップできないというのが本質的な要因です。しかもこの手の研修は“旬”が重要であるため、研修の開発リードタイムも短縮することが強く求められます。結果として、研修実施部門は、研修概要だけを企画してSMEに伝達し、詳細はSMEに任せっきりという状況に陥ります。このようなケースでは、研修実施部門のメンバー自身がIDを修得していたとしてもそれを研修に十分活かせないことになります。それならばとSMEにIDを勉強してもらうことは、それ自体にはそれなりの意義自体があるものの、現実的な解ではありません。ただでさえ忙しいSMEに、IDまでを考慮して研修を実施することを求めるのは酷だと言えます。ではどうしたらいいのか? 研修実施部門(4)が、“非IDerが、IDを意識することなく、IDに基づいたコンテンツを開発するようにしくまれた環境(IDプロセス)”を開発し提供することが解の一つだと考えます。具体的には、「作成ガイダンス」の制定や「チェックシート」等のフォーマット整備からスタートすることになります。しかし最終的には、SMEと研修実施部門双方の作業工数を極限まで削減しつつ一定の成果を保証できる「典型的研修コンテンツ開発環境」を構築したいと思います。

※eラーニングへの期待

eラーニングは、その他の非eラーニング型研修(集合制研修)などにはないメリットを多数保有しています。その中でも、“e”によって研修システムをシステマティックに構築運営できることは重要です。従来は“講師”という属人性の高い要素に依存していた研修が、より体系的に、より普遍的に、しかも大規模に実施できるようになります。直前に提案した「典型的研修コンテンツ開発環境」についても、eラーニングの領域に限定すれば、かなり実現性は高いのではないでしょうか? 他方、eラーニングの場合、コンテンツやシステム開発者は受講者の反応を直接的かつ即時に受け取れないという課題もあります。こういったeラーニングの特性を踏まえつつ、IDとの親和性が高いeラーニングの領域をメインターゲットとして、企業内研修へのID浸透に取り組んでいく予定です。

2003年eLF修了生

第2弾 精緻化理論(Elaboration Theory)
前回からご紹介している、通称GreenBook(みどり本)と呼ばれる”Instructional-design theories and models.”Volume2ですが、今回はこの中から第18章のC.M.Reigeluthによる「精緻化理論(Elaboration Theory):スコープと系列化の決定のためのガイダンス」について、この理論を題材に「精緻化理論に基づく入門情報教育教材の設計と開発」と題して書いた筆者の修士論文の内容と合わせてご紹介します。

精緻化理論とは、より効果的に学習目標を達成するために、内容を選択し、シーケンシング(系列化)することを助けることを目的とした理論です。精緻化という言葉ではイメージがつかみにくいかと思いますが、次第に細かく精密になるということ、つまり次第に複雑になるという意味です。この理論の特徴は、学習の内容やタスクを細かく砕いて小分けにするのではなく、現実的な内容や、そのタスクの領域を見極めることによって学習の内容を単純化し、単純・包括的なものから始まり、次第に複雑・詳細なものへと学習を進めていくというものです。これにより、有意義でモチベーションの高い学習が実現され、より効果的に学習目標が達成されると述べられています。

実際に精緻化理論を応用して系列化を行う際には、学習内容が次の3つのうちどのタイプかを見極めることによって、それぞれ系列化方略があります。まず、概念(What)の学習の場合、概念的精緻化シーケンスにより系列化します。概念的精緻化シーケンスは、概念間のある包括的な関係性に基づいた概念構造を分析し、より広義で包括的、一般的な概念を教えることから始まり、そしてより狭く、包括的ではなく、細かい概念へと系列化を行います。次に、理論(Why)の学習の場合、理論的精緻化シーケンスにより系列化します。理論的精緻化シーケンスは理論構造を分析することによってそれらの包括性/複雑さの関係を識別します。そして、より広義で包括的、一般的な理論を教えることから始まり、より狭義で詳細で明確な法則へと系列化します。最後に、ある特定のタスクについてどのように(How)行うのかを学習する場合、SCM(Simplifying Conditions Method)により系列化します。SCMは、最初にそのタスクを実行するために必要とされる基礎的な要素をすべて含んでいるタスクの、最も単純で典型的な例(要約)が学習者に与えられ、次第により複雑なケースへと進んでいきます。事例で挙げたWebページの作成は特定のタスクの学習ですのでSCMにより系列化されています。

ペンシルバニア州立大学の学生のWebページ(http://www.personal.psu.edu/users/y/x/yxx105/knowledge/f.htm#how)には、様々な精緻化理論を応用した事例があり、その1つにWeb作成ソフトを利用して複数ページのWebサイトを作成するという学習を精緻化した例があります。私が行った研究(http://www.et.soft.iwate-pu.ac.jp/~g231z005/master/)では、この事例を基に、まず事例と同じ学習内容の市販の教材(紙ベース)を用意し、事例に基づいてこの教材の系列を組み替えた精緻化理論に基づくものと、市販の教材の系列のまま(精緻化されていない)の2種類の教材を準備しました。そこで、2つの教材の間でモチベーションの維持や学習成果に差が見られるかどうかアンケートによる実験を行いました。その結果、精緻化理論に基づいて系列を組み替えた教材の方が初学者にはより適していることが示唆されました。

この学習には、①ソフトのインターフェイスの確認 ②Webページの作成 ③Webページの公開 と大きく3つのステップがあり、精緻化に基づいた系列では各ラーニングエピソード(章のような単位)では、①から③のステップを包括的にとらえ、単純なものから複雑なものへラーニングエピソードが進んで行きます。この事例では3つのラーニングエピソードから成り、エピソード1では、1ページのWebページを作成し、学内のサーバへアップロードして公開。エピソード2では、複数ページのWebを作成し、FTPソフトを利用して学内サーバへアップロードして公開。エピソード3では、フレームやフォームを利用したインタラクティブなWebページを作成し、FTPソフトを利用して学外サーバへアップロードして公開、という内容になっています。ステップ①から③の流れを初期段階から一通り経験することができ、次第に複雑な内容を学習するというスパイラルの形になっているのが特徴です。一方、市販の教材の系列は、ステップ①を単純なものから複雑なものまですべて学習したあとステップ②を同じく一通り学習し、最後にステップ③について同様に一通り学習する、という系列になっており、学習が最後まで到達しなければ公開までの流れを経験することができません。この2つの教材の内容を比較してわかるように、精緻化理論は学習の初期段階から現実的な学習を行うことができ、それがモチベーションの維持、効果的な学習目標の達成につながる理論であると言えます。

以上、大まかにご紹介しましたが、さらに詳しい内容は、鈴木研究室「輪読の輪」のページ(http://www.et.soft.iwate-pu.ac.jp/~core/)の「輪読の輪 第2弾 インストラクショナルデザイン 理論とモデル 2」の第18章の項目に図表などと合わせてまとめたものが載っておりますのでご覧下さい。

参考文献:
Reigeluth.C.M (1999). Elaboration Theory: Guidance for Scope and Sequence Decisions. In C.M. Reigeluth (Ed.), Instructional-Design Theories and Models Vol.II: A New Paradigm of Instructional Theory (pp425-453.;Chapter 18). Hillsdale,NJ:Lawrence Erlbaum Associates.

ペンシルバニア州立大学 事例URL
「Elaboration Theory」4. How is this theory used?
http://www.personal.psu.edu/users/y/x/yxx105/knowledge/f.htm#how

(岩手県立大学大学院: 小野 幸子)

慌しい夏が終わり秋になりました
大学教員の夏は長い。企業人にはうらやましい限りだと思うが、8月と9月の2ヶ月間がまるまる夏休み(です。ごめんなさい)。アメリカの大学教員は12ヶ月契約(夏も教える)と9ヶ月契約(夏は教えない)の2種類があり、9ヶ月契約の場合は夏休みの給与は支給されない。その点、日本はおおらかです。2ヶ月間教えなくても給与は支給される。ヒゲ講師の場合、岩手県民の納める税金+国からの補助金から給与が支払われているわけで、この事実を神妙にうけとめています、はい。(注釈:講義がない=大学の仕事がない、ではありません。この夏は、法人化準備とシラバス点検WG、それにAO入試がらみの仕事がありました。でも、講義がないのは事実。)

10月に入り、長い(しかしあっという間の)夏が終わり、後期が始まりました。今期は大人数の講義担当なし。教職科目1つと大学院の講義が2つ(一つは東北大学大学院での非常勤)、あとは演習・ゼミと卒論・修論指導。これだけだと楽なのですが、岩手での仕事以上に他所での仕事が山積しています。慌しい夏の次には、充実の秋、となりそうです。

以下に、ID活動日誌(5)以降のヒゲ講師の主な活動をダイジェスト版でお届けします。日誌、というよりは日記になりそうですが、おつきあいくださいませ。

□9/17 講師「選択講義:情報教育」
文部科学省平成16年度教職員等中央研修講座@(独)教員研修センター(つくば市)
学校の先生の中で地方の教育委員会の推薦をもらい「この人は将来この県を担っていく人」とお墨付きで集まった全国の小・中学校中堅教諭200名余がつくば市の山の中で5週間缶詰になる研修。ヒゲ講師は、毎年このエリート集団の研修講師を務めている。昨年から90分ずつの一斉講義を改めて、情報、ボランティア、環境、人間教育から1つ選んで1日研修形式となった(良い変化!)。

「情報教育」を選んだ人が20人余りであったことは何が原因か(研修内容の不人気さ、講師の人選、あるいは予習課題を出したせい?)不明であるが、楽しい1日を過ごした。もちろん「情報教育」という名の下に強調したのはIDの考え方。ガニェの9教授事象やARCSモデルはいつでも人気の内容。なかなか知られていないだな、ということを再確認する瞬間でもある。
講義選択の資料として配布したA4版1枚の資料は下記に。
URL:http://www.anna.iwate-pu.ac.jp/~ksuzuki/resume/addresses/a40917.pdf

□9/23-25 日本教育工学会 第20回全国大会
URL:http://www.mr.hum.titech.ac.jp/jset2004/
行って来ました東工大。毎晩よく呑みました。最初の夜は、韓国からの招待客を囲んでの中華料理+二次会は自由が丘の洒落たスコッチバー。次の夜は学会の懇親会@東工大食堂(ジャズバンド付)。最後の夜は、岩手県立大学鈴木研OB・OG会(初開催)+発表慰労会。連名発表は5件(鈴木は相変わらず何もしない連名者)。韓国との共同セッション(英語で発表)のコーディネータ+司会と最終日の座長が表に出た仕事でした。学会におけるヒゲ講師のスタイルが徐々に確立しているような気もしますが、たまには自分でも発表しなければと思った次第。来年は徳島大学で同じ日程との知らせに、「来年も大学院入試とバッティングか、参加できるかなぁ」と。

□10/1 コーディネータ「パネルディスカッション:学びを育む教育メディアの活用」第46回放送教育研究会東北大会(岩手大会),盛岡市民文化ホール
NHKの学校放送番組を授業でどう役立てるかを研究する会の東北大会が岩手で開催されるということで、全体会の講演を頼まれた。丁重にお断りして、「パネルはどうですか?」と持ちかけた。その結果コーディネータをお引き受けすることになった次第。岩手の小学校と山形の中学校で番組を活用している先生と、メディア利用の若手研究者、それにNHK番組制作者を招いて大いに盛り上がった。メディアリテラシーと情報活用能力、情報教育と各教科の学習の連携、交流学習を支える教師の役割などが話し合われた。放送教育の研究会ということで、岩手県内のラジオ番組として放送される予定。

□10/4-5 第2回「詳説インストラクショナルデザイン eラーニングファンダメンタル」 ブレンティング講座
URL:http://www.elc.or.jp/semina/semina041004.htm
eLFの今年度第2回は、受講者20名弱で開催、「激しく楽しく学んだ仲間」がまた少し増えました(注釈:現在、最終課題に取り組んでいるため、正確には「また少し増えます、あるいは増えるといいですね」)。事前に全章を読破して事前課題を提出することがブレンディング講座参加条件であることは継続し、その上に「ほかの受講者の書き込み最低1つ以上にコメントをつけること」を追加、さらに激しさを増してます。

ブレンディング講習の2日間は、各章への質疑応答が中心。序章から13章までを時間配分すると1章につき30分程度になり、密度が濃い時間が経過。でも、毎回少しずつ工夫を凝らしています。SCSを使った5日間版eLF2003から2日間版の第1回ブレンディング講習への工夫については、鈴木克明・市川尚・根本淳子(2004.5)「SCS集中講義<eラーニングファンダメンタル>の評価と改善」『教育システム情報学会研究報告』19(1) 55-62. で報告済み。
URL:http://www.anna.iwate-pu.ac.jp/~ksuzuki/resume/papers/a405.pdf
今回(第2回)の工夫は、講師陣の協力で、「講師がグループ討議を順番に回っていく方式」を採用。4章(小松)、5章(木山:NTTレゾナント)、6章(畑田:ファシリテータ)、7章(根本:ファシリテータ)が4班に分かれた受講者グループを順次訪ね、加わった講師の担当章を順不同で討議する方法で初日の午後を過ごしました。受講者にすれば講師・ファシリテータとより身近に話すチャンス、ただし必ずしも4-7章の順序で学習するわけではない。講師・ファシリテータにすれば、自分が得意の章について、ずっと話し合えるが4倍の労力がかかることになった次第。その時間、ヒゲ講師が何をやっていたかは秘密にしておきましょう。

□2004.10.9. 講師「フレキシブル学習環境における授業設計」
(独)メディア教育開発センター(NIME)公開講座(第2回)
NIMEは、幕張の放送大学の隣にある大学共同利用機関。大学教育の質向上を目指して設立した研究機関で、対象となるのは大学教員。ヒゲ講師は昨年からNIMEが主催する「IDを活用して授業を改善しましょう」研修会の講師をしています。4人の教育工学研究者が講師で、自分の授業を何とかしたいと全国から救いを求めて集まっている大学教員にアドバイスをしています。大学教員を相手にするという禁断の領域に踏み込んでしまって、ヒゲ講師は困惑しながらも、「企業人相手よりも将来有望な未開拓領域(?)」にどのようにアプローチしようかと知恵をひねっています。

「講義第1回のオリエンテーションは、半期で何ができるかの全体像を示す。昨年の受講者の最終成果を例示しても良い。講義担当者の思いを演説する好機。この科目に真剣に取り組むと受講者にどんなベネフィットがあるかを明示する。そして、どうしたら単位が取れるのかを明らかにする。動機づけをして契約内容を確認するという重要な役割をもつのが第1回目です。」
「何を学ばせたいかの分析はとてもよくできてますね。でもそれを裸で見せられても魅力はないから、実用場面でどんな活用ができるかを先に示すのがよいです。ポートフォリオ(4段階で出来具合の質を評価する方法)は相互評価に使って、作品の品評会をするのが良いでしょう。チェックリスト(できたかできないかが客観的に判断できる項目)は合否判断に使って、相互評価は合格者の優良可を決めるために使うのが良いでしょう。」そんなコメントを述べました。大学でも企業でも、抱える問題は大差ないようです。

(ひげ講師記す)

イベント情報
○10/16-17 日本教育メディア学会第11回全国大会(2004)
URL:http://tdmo2.med.kutc.kansai-u.ac.jp/~jaems11th/

○10/21~10/23 第18回SIGEDU教育ワークショップ@長岡技術科学大学
URL:http://www.sea.or.jp/SIGEDU/
問合せ・申込:リコーテクノシステムズ株式会社人材開発センター森泉清氏
morikiyo@r-ts.co.jp

○11/8 第6回教育システム情報学会eラーニング技術特別委員会シンポジューム
14;00~18;00@産能大学 代官山キャンパス
地図URL:http://www.sanno.ac.jp/map/daikanyama.html
講演:中原淳(メディア教育開発センター)
「サステイナブルなeラーニングサービスを創造する組織と支援体制- 米国大学を事例として」
シンポジューム「大学で使いやすいeラーニング学習環境とは」
パネリスト;不破泰氏(信州大学);梶田将司氏(名古屋大学);古賀暁彦氏(産能大学)
モデレータ:鈴木克明(岩手県立大学)

○11/13-14 第30回全日本教育工学研究協議会全国大会@東京工科大学ほか
URL:http://www.japet.or.jp/jaet/30tokyo/
主催:日本教育工学協会(JAET)

○12/2人材開発協会セミナー 『HRDのデザインと評価』 ~教育プログラム改善と最適化を目指して~
10:30~16:30(会議)  16:50~18:30(情報交流会)
URL:http://www.hrda.or.jp
主催: 人材開発協会

○12/8-9 e-Learning Forum 2004 Winter@青山学院大学
※ヒゲ講師が下記のトラックをコーディネートする予定です。【未公開情報】
12月8日:先生のためのeラーニング入門(仮題)
登壇者:猪貝達弘(NHK学園高校);向後千春(早稲田大学);安武公一(広島大学)
それぞれの取組についてIDがどのように活用されているか、ヒゲ講師との対談で分析します。
12月9日:ユーザーのためのeラーニング導入手法
登壇者:鈴木克明・根本淳子(岩手県立大学)
eLFの後継講座eラーニングマネジメントのトライアル版。講義と実習で実用的手法を紹介します。

編集後記
読者の皆様の、活動または日ごろ感じていることなどありましたらぜひこの場でお話しして頂きたいです。 是非、ご執筆いただける方!ご連絡ください。指名制もいいですが、立候補がいいなぁ。
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皆様からの
ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
【 mail to: idportalあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp 】

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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