ID マガジン第15号
ID マガジンのご愛読ありがとうございます。
4月に入りまして、熊本大学 大学院 教授システム学専攻ではイベントが続いています。
来週は、メリル先生がハワイから来日されます!ショートノーティスですが、多くの方のご参加をお待ちしてます。
《 Contents 》
1.【ご案内】熊本大学 第14回eラーニング連続セミナー
メリル先生初来日&巨匠二人の登壇!(4月22日)
2. 【再連載】ヒゲ講師のID活動日誌 (15) ~千客万来、新しい年度を新しい気持ちで~
3. 【報告その1】無事終了!熊本大学 GP 「IT時代の教育イノベーター育成プログラム」
国際セミナー報告(4月12日)
4. 【報告その2】ISPIカンファレンス 参加レポート(4月5日~)
5. 【イベント】近々行われるイベントは?
★ 編集後記
【ご案内】熊本大学 第14回eラーニング連続セミナー メリル先生初来日&巨匠二人の登壇!(4月22日)
今月12日の国際セミナーにてご講演頂いたウェイジャー先生と、初来日のメリル先生が熊本大学eラーニング連続セミナー」にてご講演いただきます!今回は東京ではなく、熊本で開催しますが、是非多くの方にご参加いただけることを期待しています。
◆日 時 : 2008年4月22日 (火) 13:00 ~ 18:00
◆会 場 : 熊本大学 工学部 百周年記念館 (▼下記地図中34番▼)
http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/campusjouhou/shuyou_shisetsu/map_kurokami_2.html
◆プログラム :「効果的なeラーニング実施のための道標:インストラクショナル・デザインの巨匠お二人を迎えて」
13:00-13:10 開会の挨拶
13:10-14:40 ウォルター・ウェイジャー氏講演
「The MORE Model of Faculty Development」(仮)
14:50-16:20 M. ディビッド メリル氏講演
「 Converting e sub3-learning to e 3rd power-learning:an alternative instructional design method.」(仮)
16:30-18:00 Water Wager氏とM. David Merrill氏による対談
「The Legacy of Robert M. Gagne: The founder of instructional design research community」
聞き手:鈴木克明(本学教授・教授システム学専攻長)
◆申し込み:下記URLから事前登録ください。
http://el-lects.kumamoto-u.ac.jp/
◆参加費 : 無料
(注)本セミナーでの使用言語は英語です。同時通訳はありません。
ただし、講演内容を理解できるように援助します。質疑は通訳致します
【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(14) ~千客万来、新しい年度を新しい気持ちで~
4月を迎え新たな気持ちで「さてやるぞ」と思っている方も多いことと思います。
ヒゲ講師はそれどころではありません。様々な事柄が目白押しで、あたまがごちゃごちゃですが、気持ちだけは引き締めて、と思いを新たにしました。一瞬ですが。
4月11日成田空港で恩師Wager夫妻をお迎えし、12日の国際セミナーでお話いただきました。2時間たっぷり講演時間をとりましたが、1時間弱で終わってしまい、そのあとのやりとりを双方向に通訳することでこの日の頭脳は使い果たしましたが、とても刺激的な質疑応答を楽しみました。質問してくれた方に感謝です。
13日は同窓生の宇野さんにWager夫妻のご案内を頼んで、田町の東京リエゾンオフィスに日曜出勤。もちろん目的は14日公開予定の新年度コンテンツの最終確認でしたが、たっぷり一日かかり、毎度のことながら、新年度は大変です。でも大学院GPのプロジェクトの一環として取り組んでいる「ストーリー型カリキュラム」を適用した初年度が無事スタートできたのは朗報。まぁ、これから色々のチャレンジが待ち受けているでしょうけど、3期生諸君、どうぞお楽しみください。SAKAIを使った「学習ポートフォリオ」も同時にスタート、これらの新しい試みについては、追々ご報告します。
22日には、Wager教授に加えて、この連載でもご紹介してきたMerrill教授も来日され、二人の巨匠を迎えたeラーニング連続セミナーを熊本大学で開催します。両教授とも来日は初めてで、Merrill教授の講演はこの日だけです。もし一度は熊本に行きたいと思っているのにまだの方、これを逃すのはもったいないですよ、ぜひご来熊(ごらいゆう)ください。
おっと、そろそろ出発して大阪にWager夫妻をお連れしないと。またいつかどこかでお目にかかれれば幸いです。
(ヒゲ講師記す)
【報告その1】無事終了!熊本大学 GP 「IT時代の教育イノベーター育成プログラム」国際セミナー報告 (4月12日)
熊本大学東京リエゾンオフィスがある、田町のキャンパスイノベーションセンター5階のオープンスペースに座席を用意し、熊本大学の会場とTV会議中継を結びつつ、熊本大学 GP 「IT時代の教育イノベーター育成プログラム」国際セミナーが 4月12日 10:00-15:00 に行われました。参加者は約117名(熊本会場を含む)でした。
初めに熊本大学社会文化科学研究科 教授システム学専攻の初の修了者7名に対し、専攻長 鈴木克明教授より学位記が手渡されました。続いて、来賓のメディア教育開発センター 理事長 清水康敬様、日本イーラーニングコンソシアム会長 小松秀圀様から祝辞をいただきました。専攻の教員としては、一つの完成・終わりの節目であるとともに、いよいよこれから修了者の活躍が始まるという印象を持ちました。
その後、日本イーラーニングコンソシアムの認定制度であるeLPの認定証授与式が行われ、ラーニングデザイナー、マネージャー、コンサルタント等の資格のコンピテンシーを満たした証となる認定証が10名の学生に手渡されました。
机の配置換えを経て、ラウンドテーブル「教授システム学専攻修了生のこれまでとこれから」が行われ、中西考二氏・福原明浩氏・花木喜英氏・宮原俊之氏をパネリスト、喜多をコーディネータとして、4人それぞれの立場から、本専攻で学んだことが如何に実際の仕事に現実的な影響を与えているかが紹介され、フロアの学生・教員・来賓からも有意義な質問やコメントが得られ、深い意見交換が行われました。
昼食時間は、ポスターセッション「教授システム学研究の最前線:学位論文紹介」が開催され、各ポスターの前では修了者の研究成果についてサンドイッチをつまみながら大変熱い議論が行われていました。
午後からは、フロリダ州立大学名誉教授 ウォルト・ウェイジャー氏を講師としてお迎えして記念講演「IDの産みの親:ガニェ教授の遺したもの」が行われました。故ガニェ教授の友人でもあるウェイジャー氏から、ガニェ教授が提唱した諸概念やモデルについての説明が行われ、フロアからの「IDはなぜ合衆国で発達したか」
「ガニェ先生の素顔はどのような様子か」などの質問に「兵隊の機械操作の習得指導に必要とされた」「授業スタイルは古典的だった」などが披露されるなど、やりとりを逐次翻訳した鈴木教授も大忙しの活発な質疑応答が行われ、講演および質問の2時間が短く感じられるほどの充実した内容でした。
(喜多 敏博)
【報告その2】ISPIカンファレンス 参加レポート(4月5日~)
4月のこの忙しい時に・・・と周囲から思われつつ、ISPI(the International Society for Performance Improvement)の年次カンファレンスに参加しました。この学会は、組織の職場環境における生産性や成果を向上させるための実践報告と研究を続けている学会です。北米を中心に世界中からパフォーマンス向上に関する研究者や実践家がメンバーです。野は、人材開発、プロセス改善、パフォーマンスに関する分析・評価、組織パフォーマンスなどが中心で、メンバーはコンサルタントなどの実践家や研究者がほとんどです。
ISPIの顕著な活動としては、認定パフォーマンステクノロジスト(CPT: Certified Performance Technologist)があります。これは、倫理規定(Standards of Performance Technology and Code of Ethics)に基づいてプロジェクトを遂行した実績を審査・認定するものです。つまり、テストではなく、その人の成果をもとに、パフォーマンス向上に関する貢献をどれだけ行ってきたかを見て認定を与えるものです。
毎年4月上旬に年次カンファレンスを開催していますが、他にワークショップや秋季カンファレンスなどが定期的あります。、北米からの参加者がほとんどですが、アジアからは、毎年韓国の大手企業がグループで参加しています。
今回日本人にはどなたにもお会いできませんでしたが、きっと参加されていると思います。
ASTDのカンファレンスに参加されている方は、それに近いイメージを持っていただいてよいかと思いますが、それよりもさらに、実践家たちの情報交換の場になっているイメージがあります。一方的に話しを聞くだけではなく、ディスカッションの場が多く与えられている気がします。また、研究発表のセクションなどもあり、新しい理論や調査報告などの発表も見れます。(ASTDには久しく参加していないので、気のせいかもしれません・・・)
カンファレンス初日、恒例で行われるイベントにApple Barrelと呼ばれるものがあります。40のラウンドテーブルに一人ずつプレゼンターがいて、みな自分が好きなテーブルへ行って話しを聞き、ディスカッションするもの。1ラウンド=20分間のが計4回あるので、自分が興味があるテーマを選んで座ります。1000人以上の人がひとつのホールに集まるので凄い熱気です。ここで発表する人たちのほとんどは、カンファレンス期間中40分から90分のセッションを自分で持っているので、ここではどの人の発表を聞きにいこうか、下調べ的な意味合いがあります。最近のトレンドや、自分が知らないトピックをちょっとのぞいて面白かったら長時間のセッションに出るといった感じです。コンサルタントたちが自分のセッションに来てもらえるようにアピールする場でもあります。
私は、"Writing Training Materials That Work"などの本の執筆、コンサルティングで著名なFoshay氏のところへ参加しました。本でしかお会いしたことないので、こうやって直接会えるのが楽しいですね。
テーマは、エクスパートが持っている問題解決能力を他の従業員につけさせたいときどうすればよいか?非構造的な問題(ill-structured problem)を解決できるようになるには、3つの基礎知識:どうやったら上手くいくかが説明できる力、問題解決をするための戦略を立てられる力、そしてその文脈をよく理解していることが必要で、さらに学習科学の研究から分かったことを参考に分析する方法がある・・・という内容でした。また、eラーニング関係の書籍、コンサルテーションで著名なローゼンバーグのセッションにも参加(90分)。「eラーニングを超えて」というテーマで、単なる情報散布をするようなeラーニングはもういらない。より組織、組織内の人材のパフォーマンスを向上するには、ワークプレースにあった学習環境を構築するべきだというもの。情報を共用し、コミュニティを作り知識をマネージメントできる人材を作るためのアイディアが紹介されました。
Web2.0の技術を活用して可能となる学習デザインの例を挙げて、あふれる情報の中から
必要とする情報を抽出し活用できる能力をもった人材を作る支援システムがこれからは必要だと語っていました。
他にも、SOPEモデルという評価モデルの提案、パフォーマンスを早く向上させるための手法(コンサルティング事例)など。コミュニティ・オブ・プラクティス、ワークプレースラーニング、EPSSのような職務遂行支援システムなどのキーワードをよく耳にした気がしますが、自分の興味が偏っているかもしれません。
どうやってよい研修を作るのかだけに閉じず、企業のパフォーマンスを向上するための取り組みがディスカッションされてるいのが魅力です。このような場を是非日本でも広げていきたいと思ってます。ISPI日本支部と一緒に盛り上げていきたいですね。
次回参加できる機会があれば、是非(日本)企業の方々とディスカッションしながら参加したいです。
参考URI:http://www.ispi.org/ (ISPIホームページ)
http://www.ispi-japan.com/ispi/index.html(ISPI日本支部)
(根本 淳子)
【イベント】近々行われるイベントは?
○2008/04/22(火) eラーニング連続セミナー@熊本大学
「効果的なeラーニング実施のための道標:インストラクショナル・デザインの巨匠お二人を迎えて」
URI:http://el-lects.kumamoto-u.ac.jp/
○2008/04/29(火)
E-Learn 2008@Las Vegas, Nevada プロポーザル提出締切
URI:http://www.aace.org/conf/eLearn/
○2008/5/15 (木)~16(金) 教育学習支援情報システム研究グループ(CMS研究会)
第8回研究会(名古屋) テーマ: 「キャンパス情報システムおよび一般」
URI:http://www.ulan.jp/sigcms/
○2008/5/17(土) JSET研究会 質的研究と教育工学@岩手大学
URI:http://www.jset.gr.jp/study-group/files/20080517.html
○2008/5/24(土) JAEMS研究会@金沢星陵大
URI:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaems/
編集後記
余りにも毎日があっという間に終わってしまうので、自分でも驚いています。
それにしても、巨匠たちの来日は、感激と同時にどきどきものです。講演の中で一番充実している時間は質疑応答。参加者の興味や関心も知ることができ、それにどうプロフェッショナルが答えるのかが面白いです。それにしても、その質疑応答を通訳されていた鈴木先生、本当にありがとうございました。いつか「次お願い」って来たらどうしようって思ったりしてます。
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