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IDマガジン第49号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2013年09月20日━━━━
<Vol.0049> IDマガジン 第49号
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IDマガジンのご愛読ありがとうございます。

9月になり涼しいかと思いきや、暑い日が続いておりますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。残暑お見舞い申し上げます。
教育工学界隈で学会が多い時期ですが、IDマガジンも、ID関連イベントの実施報告、ブックレビュー、ヒゲ講師の活動日誌と盛りだくさんでお届けいたします。
最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓
《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(45)
2. 【ブックレビュー】バリー・J・ジマーマンほか(2008)
「自己調整学習の指導 学習スキルと自己効力感を高める」北大路書房
3. 【報告】熊本大学公開講座
「インストラクショナルデザイン入門編 / 応用編」実施報告
4. 【報告・イベント】「第10回 まなばナイト」実施報告・第11回のお知らせ
5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記

【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(45) ~訳本も良いけど書下ろしはどうしたの?:典型的なパフォーマンス分析の質問~

先日、北大路書房から『教材設計マニュアル』増刷のお知らせとともに献本が1冊届いた。初版12刷で2500部の重版だというから我ながら大したものだ(自画自賛)。きっと「あれ、あの本どこに置いたっけ?」と、何冊も繰り返し買っていただいている読者も多いことだろうと(そんな人はあまり多くはないでしょう・・・)改めて感謝いっぱいの気持ちです。いや、それよりも着実に読者層が拡大している証拠だとすれば、その方がさらに嬉しいですね。

姉妹編『授業設計マニュアル』が刊行され(一部の教職課程の授業でのテキストとして代替採用される動きもあり)、大量購入先が減少しているのにもかかわらずの伸びである。何しろ10年も前に発行した書籍で少し古くなってきていて気になる部分もあるが(特に第10章)、売れている間は直さないで良いですよ、とも言われており、いまだに「初版」のままの姿を留めている。

その代わりに是非、と言われ続けていることに、「設計マニュアル」シリーズ第三弾の書下ろしがある。訳本も良いけど、是非書下ろしを、という出版社からの声は実にありがたい。著者としても早期実現を望んでいる(そう望むならば早く書きなさい、と言われそうですな)。実は、自ら「おしりに火をつける」という意図でと明言して、この執筆企画を公表したことがある。その証拠はユーストで今でも残っているから困ったものだ(http://www.ustream.tv/recorded/19878708)。あれは、なんと2012年の誕生日だったから、もうすでにあれから1年半が経過した。この間、進展はほぼゼロであった(トホホ・・・)。

これではダメだ、と思っていたところに、天の恵みか、ひげ講師の拡大解釈か、再びねじを巻きなおすチャンスがこの夏やって来た。昨年一昨年とケラー教授の通訳として参加した日本医療教授システム学会(JSISH)のセミナーを任されたのだ。これをしっかり準備して、「第三弾」出版へつなげるぞ、と意気込み、その成果として少しだけねじを巻くことができた。少しだけですけど、前に進みました。いろんな本を読んで、ワークシートを試作して、実践現場での悩みを聞くことができた。でも、その後は続かず、ゲストのアテンドもなくて本来は生産的であるはずの夏がもう終わってしまった。しかしながら、いろいろと言い訳を考えている暇に少しずつ前に進んでいこうと思っています(これも「おしりに火をつける」一貫の意思表明と受け取ってください)。

自慢話や愚痴ばかりでも何ですので、以下にJSISHセミナーの資料にも掲載した「典型的なパフォーマンス分析の質問」を紹介します。いろいろと読んでいる中で、これはよくまとまっていてどこかで使えそうだな、と思った資料。いわゆる評価のレベル3(行動)での問題点を抽出して、意味のある介入策を考えましょう、という時の質問項目です。企業での研修を考えるときだけでなく、大学教員の授業改善行動にもそのまま使えそうですね。

「1.やるべきことで、現在やっていないことは何か?」 私の場合は、マニュアルシリーズ第三弾の執筆に時間を確保すること。「2.やるべきでないことで、現在やっていることは何か?」 多すぎて書ききれません(それでは分析にならない!)。このように使えば、自分自身の貴重な時間の使い方も点検し直すこともできるお勧めツールです。

ところで第三弾のタイトルは『研修設計マニュアル』。コンセプトは、教えない研修、あるいは研修を最後の選択肢として検討する研修設計。1時間で学ぶ独学教材をつくるよりも少し大きな企業研修の文脈でIDの基礎を学ぶ本になる予定です。

機会あるごとに「第三弾の進み具合はどうですか?」とはっぱをかけていただけると嬉しいです。

IDからISDに視点を移行するための関連資料
(2013.8.4.JSISH ARCS/ISDセミナー) 10頁
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■典型的なパフォーマンス分析の質問(ISPI ハンドブックによる)
1.やるべきことで、現在やっていないことは何か?
2.やるべきでないことで、現在やっていることは何か?
3.理想的なパフォーマンスと現実のそれとのギャップは何か?
4.パフォーマンス問題の原因は何か?
a. それはスキルまたは知識の欠落か、それともそれ以外の原因か?
b. 理想的なパフォーマンスを阻んでいる障害・障壁は何か?
c. パフォーマンスに影響を及ぼしている動機づけ上の要因は何か?
パフォーマンスによってもたらされる結末あるいは報奨は何か?
d. インセンティブは効果的かそうでないか、それとも存在する・しないか?
e. パフォーマンスに影響を及ぼしている環境要因・ツール・プロセスは何か?

プロアクティブな分析の場合、以下の質問もすること。
5.職場ではどのような変化が予想されるか?
a. 新しい機器やテクノロジが導入される予定か? 新しいサービスを提供する予定か?
b. 近い将来、新しい機器・テクノロジ・サービスでどんな職務内容が要求されることになるか?
c. いつ職務内容の変更が起きるか? テクノロジや機器の導入はいつか?
d. ソフトウェアについては、現在のバージョンがいつまで最新か?
e.新しい製品(機器・テクノロジ・ソフトウェア)は顧客にとってどの程度重要なものか?
6.上記1-5について、内容の専門家・職務担当者・上司の見解はどの程度統一したものか?
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出典:Anderson, J. H. (2010). Collecting analysis data (Chapter 4). In K. H. Silber & R. F. Wellesley (Eds.), Handbook of improving performance in the work place (Vol. 1). ISPI/Pfeiffer. (p.99 Exhibit 4.1 を鈴木が試訳)

参考リンク:
鈴木克明(2012.1.20)パネル討論「授業設計マニュアルの企業向けバージョン」
第20回SEA新春フォーラム http://www.ustream.tv/recorded/19878708

(ひげ講師記す)

【ブックレビュー】バリー・J・ジマーマンほか(2008)「自己調整学習の指導 学習スキルと自己効力感を高める」北大路書房

「◯◯さんって、宿題はちゃんと出してるのに、なんで結果が出ないのかしらね(私の授業のせいじゃないわ)」
「△△くんはそもそも勉強の仕方から分かってないのよ(私の授業のせいじゃないわ)」
「同じ授業聞いてて、あの子はできてるのに、どうしてあの子はできないのかしら(私の授業のせいじゃないわ)」

教員の口からしばしば漏れるこのようなボヤキ。何かしてあげたい気持ちはあっても、学習の仕方を教える方法がわからずに放置してしまう教員も多そうです。
自己調整学習や自己効力感などといった言葉は学習スキルを指導する際によく聞かれるキーワードですが、実際に、どのようにしたら自己調整学習をする能力が身につけられるのでしょうか。

今回、ご紹介するのはバリー・J・ジマーマンほか著の『自己調整学習の指導 学習スキルと自己効力感を高める』です。

著者らは、教師として「できる生徒」の学び方を長年観察し、彼らの中に共通点を見出しました。それを理論化した集大成が以前このコーナーでも取り上げられた『自己調整学習の理論』であり、本書はその続編にあたります。
※「自己調整学習の理論」のレビューはこちらから読むことができます。
(http://www2.gsis.kumamoto-u.ac.jp/~idportal/?page_id=55&cat=124&n=2547)

『自己調整学習の理論』とその続編である『自己調整学習の実践』は様々な事例や、多くの研究者らの知見を取り込んでおり、多くの気づきが得られ読み応えのある大作です。
しかし、実際に毎日教壇に立つ〈忙しい〉教員には、
「理論も大事だろうが、具体的には何をしたらいいんだ」「すぐに試せる指導方法が知りたい」
という要望も少なくないと思います。
そのような教員に向けて作られたのが本書であると思われます。

本書は教師のための自己調整学習指導の指導方法を示したものです。筆者らは通常の授業や宿題の中ででも自己調整学習能力を育てることは可能だとしており、小学生から高校生ぐらいの生徒を対象として、基本的な学習スキルを教えるための指導モデルを提案しています。
本中では「カルビン」と「マリア」という2タイプの学習者が登場し、彼らが抱える問題点、そして改善するための具体的な指導法を紹介していきます。学習者の描写が詳細なので、「あーいるいる、こういう子」「あー、これは私だ」と共感してしまいます。

少し例をご紹介しましょう。

「カルビンは、算数の宿題を夜遅くテレビを見ながら始める習慣になっている。いつものように彼は夜9時に宿題を始めた。そして30分のコメディー番組が終わったとき、課題を仕上げたかどうかにはおかまいなく宿題も止めた。授業が始まる直前に、彼は5分間で残っている問題のいくつかに”あてずっぽうな”答えを書いた。彼の宿題成績の平均点は10点満点のたった2点で、この課題の自己効力感はずっと低く3点であった。」(pp.30)

「マリアの場合、毎日数学の問題を友達とやる。そして(中略)彼女は毎日午後の45分間、親友と喫茶店で問題に“取り組んだ”。その時間のいくらかはボーイフレンドについてのおしゃべりだったが、2人はどうにかこうにか課題を終わらせた。協力してなんとか課題問題は解くことができた。その宿題の答えについては自信があったが、その課題のテストについてはそれほど自信がなかった。」(pp.30~31)

このような「ちょっと惜しい生徒」を「できる生徒」に導くにはどのような手段があるのか、興味が湧いてきませんか?

本書は、教師が生徒に「自己調整サイクルの実践を教える」という最終目標に向け、6つの小目標を示しています。

目標1では、最低限押さえるべき自己調整学習の原則を学びます。自己調整学習とは何のことでなぜ重要なのか、それはどのような過程を経て身につくのか、教師にできる役割は何かがまとまっています。『自己調整学習の理論』を読んだことがなくても、ここを読めば概要が把握できます。
ここでは学習の自己調整は「読む課題を分析し、試験を受ける準備をし、論文を書くことのような、一定の教育目標を達成するために自己調整する思考、感情、行為のこと」(pp.2)と定義されています。そして、自己調整学習は「自己評価とモニタリング」、「目標設定と方略計画」、「方略-実行モニタリング」、「方略-結果モニタリング」の4つの段階によって特徴づけられる学習だとしています。そして教師の役割は「生徒が学習の進歩は自分の責任だと考えるように支援すること」(P.17)、つまり自己調整サイクルを作り上げて、生徒が勉強活動とその結果の関係を認め評価するようになることを支援することだと述べています。

目標2では、基本となる時間管理スキルの身につけ方を扱います。その後、目標3、4、5、6では「文章理解と要約」「ノートテイキング」「テストの準備」「作文」という学習を続けるうえで不可欠な項目を扱います。それぞれの小目標について自己調整サイクルの各過程で指導する際のポイントが示されています。具体的な指導方法が示されている場合もあれば、カルビンやマリアの描写から読者に気づきを促す箇所もあります。随所に教師用のチェックリストが提示されており、自らの指導体制を振り返ることもできます。章末にある「自分への質問」では、本書の内容が理解できて、かつ自身の授業への応用可能性を検討することができるでしょう。

ジマーマンは本書の日本語版序文において「教師のためのマニュアルだ」と述べていますが、ファミレスチェーンでアルバイトに用意したようないわゆるマニュアル本とは異なります。
「難しい理論はいらん」、「すぐに使える具体的な方法が知りたいんだ」という現場教員からの要望に応えているように見せていますが、上述の通り本書では具体例を示す場合もあれば、ヒントのみに留める箇所もあり、何度も「自己調整サイクル」の指導法を読者自身に考えさせる機会を設けています。

マニュアル通りにやったところで、教師が真に自己調整学習について理解できていなければ効果が薄まるし、生徒の状況と必要な支援策は十把一絡げにはできない。だからどのような生徒にも対応できる本当の指導力をつけて欲しい。そんな筆者らの願いが込められているように感じるのは私だけでしょうか。

【関連文献】
「自己調整学習の理論」バリー・J・ジマーマン, ディル・H・シャンク編著/塚野州一編訳/伊藤崇達ほか 訳 北大路書房 2006/9
「自己調整学習の実践」ディル・H.シャンク, バリー・J.ジマーマン編著/塚野州一編訳 北大路書房 2007/9
「自己調整学習と動機づけ」ディル・H.シャンク, バリー・J.ジマーマン編著/塚野州一編訳/中谷素之ほか 訳 北大路書房 2009/11

(熊本大学 教授システム学専攻 博士後期課程 甲斐晶子)

【報告】熊本大学公開講座「インストラクショナルデザイン入門編 / 応用編」実施報告

みなさん、こんにちは。
熊本大学大学院教授システム学専攻OBで、現在は熊本大学政策創造研究教育センターで生涯学習、教授システム学専攻ではID・IT・IM・IPの「4つのI」のうち、「ID」を担当させていただいている都竹茂樹(つづく・しげき)と申します。

2013年7月21日、大阪において、鈴木克明先生、教授システム学専攻3期修了生の森田晃子さんを講師に、そして喜多敏博先生を特別ゲストに迎えて熊本大学公開講座「インストラクショナルデザイン入門編 」を開催しました。従来の熊本大学公開講座は、主として熊本県内での実施に留まっていましたが、私都竹が熊本大学へ着任した2年前に、IDをより多くの方たち、とくに県外の方に届けたいという想いから、鈴木先生にお願いして始めました。1年目は東京のみ、2年目は東京と大阪、3年目の今年は大阪を皮切りに、名古屋、東京で開催予定と、同窓会にも協力いただきながら徐々に規模を拡大しています。

今回の大阪は23名の方が受講されましたが、関西に留まらず、名古屋、岡山、愛媛など遠方からも参加、職業も大学教職員、看護師、管理栄養士、研修担当者からスポーツインストラクターまで、非常にバラエティに富んだ方々でした。参加者の半数以上がIDは初めてということもあり、午前中がARCSモデル、ガニェ9教授事象などIDの基本中の基本を紹介し、午後は事例を通したグループワークで午前中に学んだ理論について理解を深めるという構成で進めました。事後アンケートでも満足度は高く、何名の方からは「大学院でより深く学んでみたい」と嬉しいコメントをいただきました。

実際にこれまでの受講者はトータルでも200名足らずですが、受講後に引き続き本科生や科目等履修生として本専攻に入学された方もみえ、「IDをより多くの方に届ける」ことについては、一定の手応えを感じているところです。

しかし課題がないわけではありません。参加者集めには毎回苦労しています。周知の方法に改善の余地があることは承知していますが、それにくわえて新規層の開拓という課題に直面しています。IDを知らない人に声をかけると、「IDって何?どんなメリットがあるの?」と必ず聞かれます(当然ですよね)。「IDとは教育や研修の効果・効率・魅力を高める・・・」と話しても、教育、医療、人材育成関係者はともかく、その他の分野の人にこの説明だけで「落とす」ことは無理でした。熱く語ることで「都竹がそこまで言うなら」と何とか参加してもらった方も少なくありませんでした。もちろん、単なる義理で参加で終わることはありません。受講後には「明日からぜひ使ってみます!!」と皆さんおっしゃるので、IDが様々な分野で「使える」ツールであることには間違いありません。

ただそれをどうやって知ってもらうか、伝えるか。それができないとIDの裾野は広がらず、「知る人ぞ知る」で終わってしまいかねない。「そんな事態だけはなんとしても避けたい」と、1人勝手に危機感だけ募らせていても何も変わらないので、まずはこれまで参加いただいた方の追跡調査(カークパトリックのレベル4!?)や成功事例を地道に積み上げて、発信していく予定です。そして誰もが参加してみたい!!と思うような「殺し文句」を作り上げたいと思っています。その他にも良いアイディアがありましたら、ぜひ都竹までお知らせください。

最後に宣伝めいて恐縮ですが、11月10日と1月26日に東京田町で開催する「インストラクショナルデザイン入門編 / 応用編」の参加者募集中です。ぜひお知り合いの方に、お知らせいただければ幸いです。もちろん皆さんオリジナルの「殺し文句」と一緒に。
http://www.cps.kumamoto-u.ac.jp/syogaigakushu/news/#1375062838

(熊本大学 政策創造研究教育センター教授
熊本大学大学院教授システム学専攻 修士3期修了生 都竹茂樹)
tsuzuku@kumamoto-u.ac.jp(@は半角にしてお送りください)

【報告・イベント】「第10回 まなばナイト」実施報告・第11回のお知らせ

第10回まなばナイトは「OPEN:eラーニングとオープンソース、そしてオープンエデュケーション」と題しまして、MOOCsに象徴される近年の動向を探るIT系のワークショップとして2013年8月31日に開催しました。

初めの登壇者は、日本でMoodleといえばこのかた。教授システム学専攻の喜多先生です。内容は、Moodleの最新版を使ったスタディセッションで、モバイルブラウザやタブレットPCから、配られたIDでめいめいログインして用意いただいたコースを使い、いくつかの新しい学びを探りました。

参加した人やチャットで貢献した人にバッヂを付与するなど、MOOCs界隈で注目される機能を実際に体験しながら学ぶことができました。

2番めの登壇者は、教授システム学専攻 博士第一号の宮原さん。いちはやくiTunes Uを活用し大学をオープンにしていこうと取り組まれた経過や学内システムを切り替えていく中でのオープンソースとのつきあい方など、興味深い現場の様子をお伝えいただきました。

iTunes Uは、Appleが社会貢献の側面から提供しており、製品の利用促進にもなるよう供給されている。MOOCsのプロバイダになるようなことはないし、それに必要な機能が加わることもない、考えようによってはもったいないプラットフォームだとも感じた次第です。

お二人の発表の後は、喜多先生のチャットセッションとMOOCsについてのグループディスカッションで、ここでも様々な意見が交わされました。以下はグループ毎に発表していただいた一部です。

・ひとそれぞれ。求めるものもちがう。企業内でのニーズにもつながるが動機の面と仕組みの面でも。
・最新のテキストがMOOCになっていたりするのも魅力。英語は壁。
・影響はまだまだ未知数。学位目的などの動機付け
・修了証もまだまだ概念や目的意識が社会的に高まっていないのでは。
・オンライン大学の大きな脅威にも思える。
・コースが提供されているもので、魅力的。
・対価を払って修了証をもらうか?今の状況では払わないだろう。

最後にクロージングとして鈴木専攻長からも、オープンの潮流について思うところを述べていただきました。

東大にしか出せないコンテンツ。これは、日本語であろうと英語であろうと勝つ。
オープンとは、勝ち負けはっきりしているもの。それがはっきりするビジネス。
何万人何十万人来て、一番の人が全部取っていっちゃう。学習者には明るいはなし。プロバイダとしては、とても厳しい世界。

重く響きました。

【次回「第11回 まなばナイト」開催のお知らせ!】

2013年10月5日(土)17時開催の「第11回 まなばナイト」は、熊本大学大学院教授システム学専攻長の鈴木克明先生、合田美子先生を中心に翻訳が進められた新著を題材に、インストラクショナルデザイン(ID)の最新動向をお伝えするワークショップとなります。

「インストラクショナルデザインとテクノロジ: 教える技術の動向と課題」
http://www.amazon.co.jp/dp/4762828181
書籍の目次は以前のIDマガジンでも紹介されております。

バックナンバー

IDポータル

ワークショップは監訳者のお一人である合田先生がご登壇になります。他の豪華翻訳者陣も登場するかもしれませんので要チェックです。

日時:2013年10月5日(土) 17:00~19:30(16:30受付開始)
会場:富士通ラーニングメディア「CO☆PIT」 品川インターシティB棟10階
定員:申込み先着 20名様
主催:教授システム学専攻同窓会、後援:TDMコンサルティング

お申し込み・詳細はこちら:
http://www.manabanight.com/event/manabanight11

また、姉妹イベントとして10/17(木)には、医療関係者向けに
第20章:保健医療教育におけるパフォーマンス・研修・テクノロジー
に特化した勉強会も予定されております。

こちらもあわせてご参照ください。

(まなばナイト実行委員、熊本大学教授システム学専攻 修士1期修了生 加地正典)

【イベント】その他、近々行われるイベントは?

2013/09/21(土) ~ 2013/09/23(月)
日本教育工学会第29回全国大会@秋田大学
http://www.jset.gr.jp/convention/
2013/09/27(金)
第22回熊本大学eラーニング連続セミナー
「オープンエデュケーション時代におけるeラーニングの質保証」@熊本大学
http://el-lects.kumamoto-u.ac.jp/
2013/10/01(火) ~ 2013/10/04(金)
ICEM 2013@singapore, singapore
http://icem2013.ntu.edu.sg/
2013/10/05(土)
第11回まなばナイト
「訳書『インストラクショナルデザインとテクノロジ: 教える技術の動向と課題』
出版記念ナイト  ~インストラクショナルデザイン最新動向ワークショップ~」
@富士通ラーニングメディア 品川ラーニングセンター
http://www.manabanight.com/event/manabanight11
2013/10/06
平成25年度熊本大学関西オフィスセミナー
「教授システム学を取り巻く動向と今後の展開」@大阪
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/pdf/2013kansai.pdf
2013/10/06(日) ~ 2013/10/09(水)
ICWL2013@Kenting, Taiwan
http://icwl2013.tajen.edu.tw/
2013/10/20(日)
熊本大学公開講座
「インストラクショナルデザイン入門編 ~IDを知ることから始めよう~」@名古屋
http://www.cps.kumamoto-u.ac.jp/syogaigakushu/news/#1375063924
2013/10/21(月) ~ 2013/10/25(金)
E-LEARN 2013@Las Vegas, Nevada
http://www.aace.org/conf/elearn/
2013/10/23(水) ~ 2013/10/26(土)
FIE2013@Oklahoma
http://fie2013.org/
2013/10/26(土)
日本教育工学会研究会「新時代の学習評価/一般」@兵庫医科大学
http://www.jset.gr.jp/study-group/
2013/11/09(土)
教育システム情報学会2013年度第4回研究会
「教育・学習支援におけるユーザモデリングとデータマイニング/一般」
@北陸先端科学技術大学院大学
http://www.jsise.org/society/committee.html
2013/11/10(日)
熊本大学公開講座「教育デザイン・ワークショップ入門編」 @東京
http://www.cps.kumamoto-u.ac.jp/syogaigakushu/news/#1375062838
2013/11/20(水) ~ 2013/11/22(金)
e-Learning Awards 2013@ソラシティ カンファレンスセンター
http://www.elearningawards.jp/
2013/12/14(土)
日本教育工学会研究会「エンタテインメントを活用した教育/一般」@徳島大学
http://www.jset.gr.jp/study-group/
2014/01/11(土)
教育システム情報学会 2013年度 第5回研究会
「スマートデバイスによるこれからの教育・学習環境/一般」@高知工科大学
http://www.jsise.org/society/committee.html

★ 編集後記

今回のIDマガジンいかがでしたか?
紹介されていた事例、ブックレビューなどへのご意見などがありましたら下記メールアドレスにご連絡いただければと思います。

夏が終わって暦の上では秋ですが、残念ながら暑い日が続いていますね。熊本では今週32~35度で、ほとんど夏と変わらず、ちょっとぐったりしております。これから過ごしやすくなって行くにつれ、秋の旅に、秋の味覚に、読書の秋にと、いろいろと充実した日々が遅れるようになっていくといいですね。
読者の皆さんの中には、明日からの日本教育工学会に参加されるという方も多いのではないかと思いますが、長旅になるかと思いますのでどうぞ体調管理等、気をつけて参加下さい。

次号は、涼しくなった頃にお届けできればと思っております。
よろしければ、お知り合いの方に、Webからの登録をお勧めしてくださいませ。

また、皆さまの活動をこのIDマガジンに載せてみませんか?
ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
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編 集 ID マガジン編集部 井ノ上 憲司・根本 淳子
発 行 熊本大学 大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻 鈴木 克明
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本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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