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IDマガジン第32号

ID マガジン第32号

IDマガジンのご愛読ありがとうございます。
最近やっと暑さが落ち着いてきましたね。ここでクールダウンと行きたいですか?残念ながら皆様に教授システム学の熱気をお伝えします< ^!^>

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《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(30) ~2010猛暑は続く~
2. 【キャリアレポート】GSIS1期卒業生 宇野令一郎のeラーニングライフ
3. 【ブックレビュー】「eラーニングのためのメンタリング-学習者支援の実践」
4. 【報告】日本教育メディア学会に参加して
5. 【イベント】近々行われるイベントは?
★ 編集後記

【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(30) ~2010猛暑は続く~

9月になりましたが、暑い日は続きますね。こういうときは焦らずにマイペースを心がけてゆっくり進むのが一番です(と自分に言い聞かせています:無理は禁物)。前号で「夏の陣前夜」に書いたことを振り返って御礼とご報告します。

1)ibstpiのIDコンピテンシー改訂に向けてのWeb調査はデータを収集・分析中ですが、日本語で回答を寄せてもらった人たちからの意見をまとめて来たる日本教育工学会全国大会(名古屋)で報告させていただきます。ごく一部ですが、ポスター発表にまとめましたので、興味がある方はお立ち寄りください。
P2a-405-16
インストラクショナルデザイン専門家職能に関する調査
○鈴木 克明 [熊本大学], 根本 淳子 [熊本大学], 合田 美子 [熊本大学], コザルカ ティファニー [シラキュース大学]

2)ARCS本の翻訳、予定通り出版されました。
ジョン・M. ケラー (著) 鈴木 克明 (監訳)「学習意欲をデザインする―ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン」北大路書房、3990円
Amazon.co.jp ランキングは、本 – 74,336位、教育学 > 一般 – 1636位、心理学 > 教育心理学 – 12位。まだカスタマーレビューはありません。よく一緒に購入されている商品には、「インストラクショナルデザインの原理」(ロバート・M. ガニェ)が表示されます。ふむ。

3)ケラー教授は日本各地に旋風を巻き起こして、来年の再来日を約束して帰国
されました。熊本大学でのeラーニング連続セミナー、ICoME2010での名誉教授就任祝いを兼ねた「最終講義」、沖縄国際センターでの公開セミナー、東京ではeラーニングワールド初日のカンファレンス登壇と医療情報提供者向けセミナーに登壇。その他にも、長崎・仙台・遠野・箱根訪問などプライベートも充実した旅でした。滞在を盛り上げてくれた皆様に感謝します。

4)熊本で開催した国際会議(ICoME2010)と日本教育メディア学会の全国大会、無事終了しました。これでしばらく、学会のお世話からは遠ざかることができるでしょう(汗)。おもてなしの心でつつがなく大会を運営するノウハウは、IDに不可欠な参加者(学習者)中心指向+段取り力+創造力がその基盤だと思っているので、かなり気を使いますね。様々な立場で会を支えてくれた人々に多謝。
当分の間はもう引き受けませんのでご安心を。

5)8月は再びミャンマーにいました(【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(21) ~
ID実践@ミャンマー~(2009/9/18掲載)を参照ください)。1年前に仕掛けた活動が徐々に実を結んでいることが確認できるのは嬉しいものですね。カスケード方式で全国展開を目論む現職教員研修プロジェクトですから、自分自身がいなくても、確実に実行できる研修プログラムとそれを可能にする研修担当者研修(ToT)が不可欠。しかも3段階で実施(中央研修>地方研修>ローカル研修と展開して研修のやり方を伝授し、最後のローカル研修でようやく新しいスタイルの授業を担当する学校教師が研修を受ける方式;いわゆるカスケード方式)。IDの真骨頂発揮であります、はい。今年12月の再訪を約束して帰国しました。半年後が楽しみです。

6)JSiSE全国大会は北海道大学で開催。練習会をホテルでやって、みんな立派
に発表しました。懇親会会場に設置した金屏風2枚の真ん中の白いカーテンから会長が登場したセレモニーには脱帽、よくぞやった実行委員会! JSET@名古屋も練習会合宿から参加の予定。読者の皆様にお会いできることを楽しみにしています。

(ヒゲ講師記す)

【キャリアレポート】GSIS1期卒業生 宇野令一郎のeラーニングライフ

熊大教授システム学1期生の宇野です。

ふとしたきっかけでGSISに入ってしまったがために、
人生大きく変わってしまいまして(?)、融資や投資と
いった金融業からオンライン大学分野に転職、只今、
BBT大学(ビジネス・ブレークスルー大学)という100%オンラインの
大学で日々奮闘中です。
http://bbt.ac/

この大学のインストラクショナルデザインの基本思想は、

「教えない大学」
大学説明スライドにも↓堂々と書いています。
http://www.slideshare.net/bbtu/bbtu-pdf

教えない、と聞いて???と思われるのは一般の方々の反応。
ニヤリとするのが、昔からのIDerの方々ではないでしょうか。

はい、師匠のこちらを参考にさせて頂きました。
http://bit.ly/d2cIDQ

カリキュラム構築に当たっての基本思想は、

「未来から逆算した大学」
このように↓書いています。
http://www.slideshare.net/bbtu/ss-5044818

すべてゴールありきで、ゴールから逆算して設計されています。
はい、このあたりのプロセスも、GSISのIDの考え方をフル活用です。

そして、各科目も、ストーリーセンタードカリキュラム(SCC)の
エッセンスを部分的に導入したり(↓スライド24-31枚目)、
http://www.slideshare.net/bbtu/bbtu-pdf
GSISで学んだ内容をフルに使っている日々。

著作権の問題が発生したら入口先生を思い出し、高等教育特有
の問題は大森先生の授業を思い出し、ID設計開発部分は鈴木先生、
北村先生の授業を思い出し、IT系については喜多先生と、日々、
GSISの学びを実践中。

私ほど、学費のモトをとった人間はいないのかもしれません。

一方で、事業計画をエクセルで起こすとか、外人部下のマネジメント、
学生募集のマーケティング戦略作りなどは、9年前のMBAでの
学びが今でも非常に役立つのですね。

いやー、大学院での学び、いや学問というものは、何かを産むうえで
役に立つんだ!と毎日実感しています。

いまだに盛り上がらないeラーニングを、確立した学習形態として
せめて海外平均並みレベルに持ち上げるべく、
「学んだことはアウトプットして世の中に貢献してナンボ。」
と、BBTの学生に話している以上、私も日々アウトプットにつとめる
次第です。

そんなBBT大学、ID修士が3名、ID学士が1名と、IDerが恐らく
日本で一番多い組織ではないかと(あ、熊大の次に)。

それでもまだまだ足りません。仲間募集中です!

TVでも特集されました!↓3分15秒目からBBTです。
http://www.slideshare.net/bbtu/bbtu-pdf
(BBT大学(ビジネス・ブレークスルー大学) 学部事務局長 宇野 令一郎)
Mail: Uno(at)bbt757.com
twitter: bbtu

【ブックレビュー】「eラーニングのためのメンタリング-学習者支援の実践」

本書はeラーニングに特化して言及しているというより、対面授業もeラーニングも実際は人対人なのだと言うことや、eラーニングにおいて、メンタを配置する際の組織的なマネジメントまでを紹介しており、教育業界全般においても応用が利く「メンタリングの入門書」という印象である。入門書とは言っても、専門用語が多く、教育分野においての初学者には難しいかもしれない。IDを学ぶ我々にとっては、専門用語の再確認と共に、メンタリングの知識を得る機会となるだろう。

本書の「はじめに」で作者は『eラーニングをソフトウェア開発や、インフラ整備の観点から、つまり「e」の部分に注目してとらえている技術者や、「eラーニングの方が対面授業より人としての交流が少ない」と信じている先生方に読んで欲しいと考えています。』と述べている。このことからも分かるように、eラーニングとは機械的な学習方法だと考えている人の意識を覆す1冊となるだろう。

今まで何年か学校教育で児童生徒と携わり、最近eラーニングについて学び出し
た私は、eラーニングの業務の中でも特にメンタやチューターという役割に、何かしらの魅力を感じていた。対面授業においても、教員の個人レベルでのばらつきがあるにせよ、メンタリング活動を行っていると言えるが、あくまでも教員個人に任せられ、学校内での組織的継続的なメンタリング活動がされているとは言い難い。

本書を読み、eラーニングおいて、インストラクショナルデザイナーやeメンタの個々の存在だけが大事なのではなく、その役割を考えることを通して、組織・チームの在り方を再考することが重要なのだと感じた。大事なのは「個人レベルで持つ暗黙知を、組織で共有して、解決・改善を図る(ナレッジマネジメント)」ということ。

eラーニングは学習者にとって「いつでも・どこでも」学べる便利な学習環境ではあるが、それを支援する側も常に対応できる体制を整えている必要がある。
本書27pではSalmonとSimpsonのメンタリング活動の分類を紹介している。その分類での活動内容は以下の通りである。
・何を教えるコースなのかを明示
・学習内容や教員の指示について説明
・学習成果をフィードバック
・進捗をモニタリング
・学習方法の改善を支援
・付加的情報を供与
・正確でタイムリーな情報提供
・適切な選択肢の提示
・学習者の決断を支援

これらを見る限りは、教員が個人レベルで行っている業務と何ら変わりがないように思うが、本書で述べているeラーニングにおけるメンタリングは、これらを体系的に見直し、ガイドラインを作成し、組織的に学習者を支援していくという体制の違いを示していると感じた。作者の意に反するかもしれないが、私は本書を読み、eラーニングを成功させるために取り組むガイドラインの作成や組織作りこそ、伝統的授業を行っている学校教育において必要なのではないかと考えさせられた。

鈴木克明教授の帯上の推薦文は以下の通り。
eラーニングのペースメーカー
「インストラクショナルデザインかeメンタリングか……」二者択一ではなかった!eラーニングにとって、どちらも大事だとわかる本です

最後に、鈴木教授の帯の言葉を受けて…、先生なら「IDが完璧ならメンタリングは不要」と言い出すかと思っていたが、どちらも大事だということ、IDだけでは完璧じゃないのかも知れない、IDを補うにはどんな学習環境を提供すればよいのか…と妄想することとなった。その答えがeメンタリングなのだろうか。

(熊本大学大学院教授システム学専攻 博士前期課程修了 福山美穂)

【報告】日本教育メディア学会に参加して

こんにちは 教授システム学専攻 博士前期課程の青木太郎です。7月に熊本県にて開催された第17回日本教育メディア学会年次大会に参加してきたので、そのレポートをいたします。

日本教育メディア学会(会長:久保田 賢一:関西大学:略称JAEMS)が2010年7月17日(土)から18日(日)にかけて開催されました。場所は、熊本県熊本市の中央に位置する熊本市国際交流会館でした。過日の14日から15日にかけて、国際教育メディ学会(ICoME)が開催されており、主要メンバーが前夜阿蘇山そばの地獄温泉にて理事会をしていましたが、朝車のトラブルがあり到着が遅れ、17日の開催は30分遅れでのスタートとなりました。

発表はシンポジウム、自由研究、課題研究に分かれていました。
初日にはシンポジウム1セッション、自由研究3セッション14件、課題研究3セッション16件が執り行われました。
二日目には、自由研究3セッション17件が執り行われました。

以下は、課題研究の内容です。
課題研究I 教育放送75周年を検証する
課題研究II モバイル端末を活用した授業の可能性
課題研究III 教育メディアと思考力

熊本大学関係者は、今回は大会事務局校であったにもかかわらず、座長2名、発表4と活躍しました。
教授システム学専攻はフルeラーニングのため、普段は中々関係者に逢うことが出来ません。今回は学会、しかも事務局担当と言うこともあり、フルメンバーに逢うことが出来たような印象がありました。決して表には出てこないけれど縁の下の力持ちをしつづけた運営スタッフの皆様の活躍も間近で見ることが出来て、とても感動しました。

自分自身も、初めての学会発表をすることが出来、とても多くの学びがありました。自分の感想としては、トラウマになるくらい出来が悪かったのですが、これらは発表をしなければ決して知ることの出来なかったことで、発表を勧めて応援して下さった先生方に感謝しています。

最後に、学会発表をまだしていない方にお知らせいたします。発表しましょう。
是非発表しましょう。本当に良い経験になります!

日本教育メディア学会 http://jaems.jp/

第17回教育メディア学会年次大会 http://www2.gsis.kumamoto-u.ac.jp/~jaems2010/

(熊本大学大学院教授システム学専攻 博士前期課程 青木太郎)

【イベント】近々行われるイベントは?

○2010/09/18(土)~2010/09/20(金)
日本教育工学会第26回全国大会@金城学院大学
URI:http://www.jset.gr.jp/taikai26/

○2010/10/18(土)~2010/10/22(水)
E-LEARN 2010@Orlando, Florida
URI:http://www.aace.org/conf/elearn/

○2010/11/13(土)
教育システム情報学会2010年度第4回研究会:
新しい学習/教育活動を可能にするICT活用とその評価@広島大学
URI:http://www.jsise.org/

○2010/12/18(土)
日本教育工学会研究会
「ICTを活用したFDと大学・高大連携/一般」@大分大学
URI:http://www.jset.gr.jp/study-group/index.html

★ 編集後記

整理整頓。今年の目標の一つですが、達成度は2割ぐらいでしょうか・・・。
キリがないですね。日ごろの作業が悪いのですねきっと。頑張ります。

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ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
【 mail to: idportalあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp】

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編 集 ID マガジン編集部 根本 淳子
発 行 熊本大学 大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻 鈴木 克明
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/
++++++++++++++++++Copyrights(c)id_magazine ml.gsis.kumamoto-u.ac.jp+++

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謝辞

本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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