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IDマガジン第59号

IDマガジン 第59号

皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
本年もあと少し。お忙しい時期だと思いますが、今年最後のIDマガジンをお送りします。
今回のIDマガジンは、12月に行われたKU対決特集です。お楽しみください。
どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓
《Contents》
1.【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(55)KU対決(延長線)の行方は?
2.【ブックレビュー】『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン著/高橋璃子訳
3.【報告】これがKU(熊本大学(教授システム学専攻)vs.京都大学)対決だ!
4.【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★編集後記

【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(55)KU対決(延長線)の行方は?

ヒゲ講師は、12月5日(土)京都大学吉田泉殿にいた。同窓会が専攻10周年を記念した特別 イベント「KU(熊大・京大)対決」に大将として参戦するためである。会場が狭いためにネット参加を原則とした(逆ですね、そういう会場を選んだんですから)。しかし、ネットワークが途切れがちで、中身があまりよく分からなかったとの声(苦情)を多く聞いた(レイヤーマイナス1の問題ですね)。いまだにベールに包まれたままの対戦の模様はビデ オ録画でそのうち明らかになるとは思うが、ダイジェストだけの公開にしておいた方が良いのかもしれない。やっぱりあれは、全部公開するには過激すぎる「アングライベント」 だったようです。

大将戦は(その前の対戦が大幅にもつれたこともあって)あとに控える懇親会開始の時間 を気にしながらの展開であった。「現在、最も苦戦しているものは何ですか?それにどのように対処しようとしていますか?」という問いと「仕事上で、今一番楽しく妄想できることは何ですか?」という問いを京大大将から投げかけられていた。これらの問いは、10周年行事に相応しく、現在・過去・未来を省察する好機になりました(多謝)。やることが多すぎることに最も苦戦してきた。その対処法は、仕事を精選することだと思う。一番楽しく妄想できることは、新しいものを作って見せた時にどんな反応が得られるかを考えることだ。ビデオがなくてもこれだけ書けば、私の答えが何であったか、およそのことは伝わるだろう。

将来についての妄想の手助けは、何といっても読書。互いの質問に答えたあとの自由演技 「大技フェーズ」のために用意したスライドは「ランチョンセミナー方式」で次にリストする用語から、気になるものを選んでもらった。

・保険仕事
・勤労の義務とは所属チームに貢献すること
・山登りの勧め(川下りではなく)
・脅しから姿勢の防災教育へ:釜石の奇跡
・トヨタはトヨタ生産方式で儲けているわけではない
・人間は火を発見したのではない。火をデザインした

時間の関係もあって、結局、リストの最後のスライドだけオープンする機会を得た。IDも デザインを標榜しているのだから「デザインの伝統」をもっと学ぶ必要がある。IDT訳本にも紹介されたこの考え方は、最近ヒゲ講師が注目している動向であり、読むべき本は山積みである。この動向を調べる時間を確保することも、今後の「苦戦」として続くのだろう。

その他のスライドは(せっかく準備したのに!)オープンする機会がなかった。きっとまた、ランチョンセミナー等でお披露目するチャンスが持てるだろうと思う。2016年1月6日(水)作並から遠隔でお届けする予定のランチョンセミナー恒例の「新春放談」が良い機会になるかもしれない。

読者の皆様、どうぞよいお年をお迎えください。またいつかどこかで。

(ヒゲ講師記す)

【ブックレビュー】『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン著/高橋璃子訳

「エッセンシャル」を説くだけあって、内容の本質にぶれがない。言いたいことは、「自分の持てる資源を本質に集中せよ。さらば、最大の果実を収穫することができる。」とまあ、そんなところになるでしょうか。大手オンラインショッピングサイトのレビュー欄には、「仕事や生き方の参考になります」という類いのことばがあふれているのですが、IDマガジンの読者なら、これを教材作成、教育カリキュラム・プログラム、そして、学習プランなどに役立てることができるのではないかと思います。

例えば、教育プログラムを考えているとき、ついつい、あれもこれもと欲張りな目標を盛り込んでしまうことはないでしょうか。いやそれではいけないと、挙げた目標を減らす場合、よりどころとなるのは、その教育プログラムで達成したい本質的なこと、ということ になるのではないかと思います。本質は、だからといって、抽象ではありません。この本での本質目標は、「具体的かつ魅力的」「意味があり心に残る」とされています。IDに通じるとこと大な捉え方だと感じました。

各章にちりばめられた「非エッセンシャル思考/エッセンシャル思考」の対比もID的に参考になると思いました。例えば、非エッセンシャル思考は「選ぶ余地がない」。それに対応するエッセンシャル思考は「自分で選び取る」。なるほど。学習者に自ら選び取らせる工夫は、本質に集中させるためにも効果がありそうだ、と気付かされます。「良くすることは、何かをつけ加えること/良くすることは、何かを削ること」という対比も、教材やプログラムを開発する上で参考になりそうです。

学習者として学習に取り組むときには、次のような「非エッセンシャル思考/エッセンシャル思考」の対比を心にとめておくとよいかもしれません。「どの選択肢も平等に扱う/決定的に重要なことだけをとる」「どうすれば全部できる?/何に全力を注ぐ?」「声の大きい意見に反応する/ノイズのなかにシグナルを探す」「やりつづければ、いつか報われるはずだ/今これをやめたら、何に時間とお金を使えるだろう?」「過去と未来に引き裂かれている/現在に集中している」

すべてがすばらしい教材・プログラムというわけではないのですから、自分自身で何が自 分にとって重要かを選ぶことが大切になると感じました。

わたしに関して言えば、なんとなく考えていたことがこの本を読むことによって形になり 、関わるプロジェクトを減らすことを決意し、そう上司に告げました!

(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士5期修了生 竹岡篤永)

【報告】これがKU(熊本大学(教授システム学専攻)vs.京都大学)対決だ!

2015年12月5日、教授システム学専攻同窓会特別イベントとして、熊本大学(教授システム 学専攻)vs.京都大学、称して「KU対決」が開催されました。このビッグマッチを裁くのはこの人達しかいない!と審判は大森不二雄(首都大学東京 大学教育センター・教授/熊本 大学・客員教授)と大塚雄作(独立行政法人大学入試センター・教授/京都大学高等教育 研究開発推進センター・前センター長)にお願いしました。

○先鋒戦 喜多敏博vs.喜多一(京都大学 国際高等教育院・副教育院長/教授)喜多一先生はIDの用語はまったく使わずIDと通じる話を展開。やはり合理的・システマチックに考えれば同じ答えにたどり着くのだと感心していたところ、喜多一先生は喜多敏 博先生に電気工学系の内容についての不意の出題。これに喜多敏博先生は見事正答。しかし、喜多敏博先生はこの質問であっという間に昔の学生モード(かつて喜多敏博先生は喜 多一先生の授業を受けていた)に戻ってしまいました。後攻で喜多敏博先生は得意のノー ガード戦法で反撃しますが、学生モードになった喜多敏博先生、いつものアドリブも冴え ません。巻き返しも十分でなく、喜多一先生の勝利。

○中堅戦 中野裕司vs.梶田将司(京都大学 情報環境機構IT企画室/学術情報メディアセンター・教授)
先攻は梶田先生。梶田先生は福井の別の研究会に参加されていたのでSkypeによる遠隔参 戦でした。両選手とも全学の戦略に関わる話題を展開、両KU内部のあまり大きな声では言 えない話が脱線に脱線を重ねて展開されていきました。ある意味、今回のイベントでもっとも危険な試合でした。この試合は中野先生勝利、これで1勝1敗のイーブン。

○大将戦 鈴木克明 vs. 飯吉透(京都大学 高等教育研究開発推進センター・センター長/教授)
そしてついに大将戦。先攻は飯吉先生。飯吉先生は他のイベントからの講演の依頼を蹴ってまでこの対決に参戦してくださいました。飯吉先生は宇宙大学の設計や新しい人生ゲームを作成するというPBLの紹介や「日本に帰ってきたからにはプラクティショナーとして必ず何かを成し遂げる」という決意を示してくださいました。そして我らが総大将の鈴木 先生の登場です。鈴木先生は…今回の「ひげ講師日記」にてご本人からお話があると思う ので、そちらにお譲りします。

試合結果は…大将戦で鈴木先生が勝利し、GSISチームが2勝1敗で勝利を飾りました。試合後はノーサイドということで選手・審判・スタッフ入り乱れての懇親会。笑い声の中、冬の京都の夜は更けていきました…。

最後に。このイベントは世界中に生放送したのですが、残念ながら映像が途切れ途切れになってうまく視聴できなかった方々もいたようです。動画はまずはGSIS関係者が見られるようにしますので、今しばらくお待ちください。

(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士7期修了 平岡斉士)

【イベント】その他、近々行われるイベントは?2016/1~2016/3

2016/01/30(土)
教育システム情報学会2015年度第5回研究会「身体知・スキル支援/一般」@関西大学
2016/02/11(木・祝)
第22回まなばナイト@富士通ラーニングメディア品川ラーニングセンター
2016/02/20(土)~2016/02/21(日)
日本教育工学会・冬の合宿研究会 「実践研究のデザイン-実践を研究に,研究を実
践に活かす-」@鳴門教育大学
2016/03/03(木)~2016/03/04(金)
第8回日本医療教授システム学会総会@東京医科大学病院
2016/03/05(土)
日本教育工学会研究会「ICTを活用した学習支援環境・基盤/一般」@香川大学
2016/03/07(月)
日本教育工学会・大学教員のためのFD研修会「大学授業デザインの方法-1コマの授
業からシラバスまで-」@東京工業大学
2016/03/19(土)
教育システム情報学会(JSiSE)2015年度第6回研究会 テーマ:21世紀型能力と情報
教育/一般@東京工芸大学

★編集後記

同窓会主催の次の大型イベントKU対決のレポートいかがでしたか? 個人的には、オンラインで生中継はとてもありがたかったですが、やっぱり「ナマ」で見たかったなと・・・

今後も引き続き、インストラクショナルデザインに関するホットな情報をお伝えしてまい りま す。どうぞお楽しみに!

(第59号編集担当:根本 淳子)
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編集 編集長:鈴木 克明
ID マガジン編集委員:根本 淳子・市川 尚・高橋 暁子
発行 熊本大学大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻同窓会
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謝辞

本サイトは、JSPS科研費「教育設計基礎力養成環境の構築とデザイン原則の導出に関する統合的研究(23300305)」の助成を受け、研究開発を行いました。

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