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IDマガジン第136号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2024年 7月31日━━━━
<Vol.0136> IDマガジン 第136号
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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
猛烈な暑さや大雨で大変ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回も、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓

《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(106): JICAプロジェクト参画の有終の美を飾る
2. 【ブックレビュー】『インストラクショナルデザイン 成果から逆算する“評価中心”の研修設計』荒木恵(2024)プレジデント社
3. 【報告】第65回まなばナイトレポート 6月8日(土)@東京
4. 【ご案内】第66回まなばナイト 8月24日(土)@名古屋
5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記

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【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(106) :JICAプロジェクト参画の有終の美を飾る
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ヒゲ講師は、2024年7月23日エチオピアの首都アジスアベバのホテルで講師として登壇した。コロナ禍での中断を経てようやく完了を迎えたJICAプロジェクト「エチオピア国水技術機構(EWTI)研修運営管理能力強化プロジェクト」の普及ワークショップだった。カリキュラム・研修教材開発担当の短期派遣専門家としての役割を振り返り、大成功を収めたプロジェクトの一員であったことの喜びを伝えた。

知らない間にアフリカまで行ってたんですか?4月の米国旅行後の時差ボケに苦しんだと言ってたのに! いいえ、残念ながら日本からの遠隔参加でした・・・。しかも、あらかじめビデオで撮影したPPT画像を上映してもらう形での参加。残念ながら、というべきか、それともありがたくも遠隔参加ができた、というべきかは微妙(やっぱりカウンターパート諸氏に直接会いたかった)。でもZOOMで同期型の遠隔参加は先方のネット環境が心配なのでビデオ撮りして欲しいとの依頼だった。それでも会場では「先生のワークショップに参加した面々は、本当に喜んでいました」との報告を受けた。「トレーナーたちが何名か発表したのですが、先生が教えてくださったことを皆さん自分のモノにしていて、嬉しかった」とのことで、私もとても嬉しかった。今回、実際に現地に赴くのはおそらくスケジュール的に難しかった。遠隔でも同期型だと時差も計算しなければならず、日常業務に支障が出てしまっただろう。コロナ禍で何度か経験したPPTにしゃべりを挿入する簡単な手順で、臨場感を出すために(そして効率化を図るためにも)ワンテークと決めて録画したのは、時間的余裕があった前の週の木曜日。まぁ世の中、とても便利になった、ということですね。

このプロジェクトで最初にアジスアベバに赴いたのは2017年の12月。そのあたりの様子は、2018年1月10日に【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(67) ~正月らしくない正月~で紹介した(https://idportal.gsis.jp/magazine/doc_magazine/109.html)。あれからすでに6年半が経過したのか。どんなことをやっていたか、については、国内学会と国際学会でそれぞれ報告した。あれから合計5回、ドバイ経由のエミレーツでエチオピアまで足しげく通い、思い出深いプロジェクトとなった。コロナ禍で6回目の派遣はキャンセルになったが、その後も国内で支援を続けていたので、長丁場のプロジェクトだった。あぁ、とうとう終わるんだな、と感慨深い記念日となった。

(ヒゲ講師記す)

参考文献
鈴木克明・伊藤拓次郎・北詰秋乃(2018.11)コンピテンシー準拠型研修への変換過程支援ガイドラインの考案:エチオピア国水技術機構におけるJICAプロジェクトを事例に.日本教育メディア学会第25回年次大会(鹿児島大学)発表論文集,116-117
https://idportal.gsis.jp/wp-content/uploads/sites/3/2019/05/jaems2018Suzuki.pdf

Suzuki, K., Ito, T., & Kitazume, A.(2019.7)Output-centered training design: A JICA project at Ethiopian Water Technology Institute.A paper presented at International Conference for Media in Education (ICOME) 2019,China Capital Market Institute,Shenzhen, China (Proceedings of ICOME2019), 236-241
http://idportal.gsis.jp/wp-content/uploads/sites/3/2019/09/Suzuki_ICoME2019_EWTI.pdf

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【ブックレビュー】『インストラクショナルデザイン 成果から逆算する“評価中心”の研修設計』荒木恵(2024)プレジデント社
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この本は、熊本大学教授システム学専攻同窓生の荒木恵さんの書かれた本です。出版を聞き、また、この本を題材にしたまなばナイトが企画されたこともあり、読んでみました。この本の重要なメッセージは副題「成果から逆算する“評価中心”の研修設計」にあります。企業などの研修では、研修がいくら素晴らしくとも、その成果が仕事に反映されないと、意味はありません。そのことを伝えたいのだな、と思いながら副題を読みました。すると、やはり、この当たり前だけれども、見過ごされがちなことからこの本が始まっていました。(Chapter 1:ビジネスゴールから、組織の学びをデザインする)

また、Chapter 1ではゴール設定の重要性を説明しています。ここで、ビジネスゴールとパフォーマンスゴールを分けて捉えています。パフォーマンスの向上(社員の行動)がビジネスゴール(売り上げなど)につながることをわかりやすい図で示しています。わたしは図を眺めながら、今の職場である大学では、パフォーマンスゴールとビジネスゴールはどう繋がっているのだろうと、考えてしまいました。そして、この視点、うちの職場でも重要だなと思いながら、読み進めました。

Chater 2では、パフォーマンス分析について書かれています。ここで重要なのがギャップの明確化です。そりゃそうだ。パフォーマンス向上のためには、どんなギャップがあるかを明確にしなければ、と、また、わたしの頭は自分の職場でのギャップを考え始めました。

Chapter 3にはお馴染みのID理論がいくつも出てきます。「ID5つの視点とその関係図」「ケラーのISDモデル」によって「逆算」の意義について解説した後、「ガニェの9教授事象」「学習課題の種類と学習法略」「ARCSモデル」「ID第一原理」「TOTEモデル」「キャロルの時間モデル」「カークパトリックの4段階評価モデル」について紹介されています。これらのID理論を実際の研修でどう活用するか、それが、わかりやすく書かれています。

Chapter 4は事例です。医薬品メーカー2社と電機メーカー1社の事例が取り上げられています。それぞれに「データドリブンな現場マネージャー育成型」「未来の事業環境から逆算型」「高市場担当者のハイパフォーマー短期育成型」というタイトルがついています。マネージャーの育成に焦点を絞ったもの、全社員向けのもの、そして短期育成と、研修を異なる角度から眺めることができました。そしてやっぱりここでも、じゃあ自分の職場では、どんなゴール設定をしたら良いのだ、と考えさせられました。

最終章は、著者の荒木恵さんと鈴木克明先生との対談です。「日本でIDが普及しないのはなぜか?」という刺激的な小見出しがありました。対談の中で、荒木さんは「確かに、IDを導入して人材育成の仕組みを変えるのは、パワーとコストがかかります。」と述べています。そのパワーとコストに見合うだけのデータを見せることの重要性、伝わりました。鈴木先生の言葉で印象的だったのは、「数値で可視化するのは、伸びしろを測るためにやるものです。」でした。数値はランクづけのためだけにあるものでない、ということです。これも、しっかり伝えられました。

わたしは読みながら、自分の職場では? とか、自分なら? といろいろ考えることが多いのですが、この本を読みながら、うちの職場の人材の「職場での望ましい職務遂行能力」も、間違いないく、言語化して定義する必要のあるものだ、と思いました。

最後に、鈴木先生が「AARサイクル」について話しています。「受講者が状況を見通し(Anticipation)、必要な行動を起こし(Action)、振り返り(Reflection)を継続して自分の考えと改善していく力を養うサイクル」です。表紙の歯車はAARサイクルを表しているのでしょうか。ステキです!

 (熊本大学大学院教授システム学専攻5期生 竹岡篤永)


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【報告】第65回まなばナイト@東京 レポート「企業内教育におけるパフォーマンス評価とリフレクションを軸にしたラーニングデザインの実践」
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2024年6月8日(土)に、根室食堂 新橋店にて第65回まなばナイトを開催しました。
今回も対面とオンラインを組み合わせたハイフレックス型で実施されましたが、対面会場は「居酒屋のワンフロアを借り切って」行われました(おそらく初めて)。

話題提供者は教授システム学専攻修了生(9期生)の荒木恵さんでした。
荒木さんは2024年4月15日に「インストラクショナルデザイン 成果から逆算する“評価中心”の研修設計」をプレジデント社から出版されました。
今回は出版記念講演も兼ねております。

はじめに大学院修了後の荒木さんの活動をまとめた自己紹介があり、その後は書籍の内容に基づいたお話がありました。
企業の研修設計においては、まずはビジネスゴールを特定すること、それからあるべき姿と現状のギャップを分析すること(パフォーマンス分析)が大事だというお話から始まり、実際にどのように現状分析をしているのか、事例を交えてご紹介いただきました。それらの分析を経て、パフォーマンス評価の設計に入ります。パフォーマンス評価においては「ルーブリック」を用いられているとのことで、独自に開発されたルーブリックライブラリーやツールがあるとのこと。このように評価を中心に研修を設計していくフレームワークを拝見し、教授システム学専攻での学びがたくさん埋め込まれているなあと感じました。今回話題提供いただいた事例の一部は、医療教授システム学会で発表されているとのことですので、ご興味ある方はぜひご覧ください。学会発表もされているなんて、さすが修了生!

第16回 日本医療教授システム学会 総会・学術集会(プログラム・抄録集)は以下です。
https://www.jsish16th.com/program

話題提供の後はグループワークです。
(ここから対面会場では宴会コースがスタートしまして、テーブルには料理とお酒が運ばれてきました)
ディスカッションテーマは『学習者が「評価」の価値を感じてもらうための工夫について』です。学習者から嫌われがちな「評価」。学習者が「評価」の価値を感じてもらうための工夫はされていますか?というテーマでグループごとに議論をしました。筆者がいたグループでは、企業だと研修の評価が人事考課に直結すると考えられてしまって拒否反応をされるという話や、大学だと学習評価は当たり前に行われているのでそれほどの拒絶はないけれど1点にこだわりすぎる学生がいるという話などで盛り上がりました。
全体共有では、PBL型の大学授業での評価の工夫の話や、やはり評価は難しいという話などが出てきました。

クロージングでは、鈴木克明先生からは「評価は次の成長につなげるチャンス。途中でやって、フィードバックをもらって、次のアクションに移すことが大事」というお話がありました。
形成的評価を大切にしたいと改めて感じました。

クロージング後の対面会場は、宴会で大いに盛り上がりました。
最後は荒木さんのサイン会で締めたまなばナイトでした!

(熊本大学大学院教授システム学専攻2期生 高橋暁子)


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【ご案内】第66回まなばナイト 8月24日(土)@名古屋「コロナ禍における小児看護学実習のハイブリッド化と今後の展望」
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【日時】
2024年8月24日(土)午後5時30分~午後8時

【セミナー概要】
『コロナ禍における小児看護学実習のハイブリッド化と今後の展望』

■□■□■ オープニング ■□■□■

熊本大学大学院 教授システム学専攻 同窓生
熊本大学 教授システム学教育実践力開発拠点 連携研究員  大石 奨

■□■□■ 乾杯 ■□■□■

武蔵野大学 響学開発センター 教授 (センター長)
熊本大学 名誉教授
熊本大学大学院 社会文化科学教育部 教授システム学専攻 客員教授
熊本大学大学院 教授システム学専攻同窓会 顧問 鈴木 克明 先生

■□■□■ ディスカッションタイム ■□■□■

進行 熊本大学大学院教授システム学専攻 同窓生 天野 裕香

1.話題提供

熊本大学大学院 教授システム学専攻 同窓生
熊本大学 教授システム学教育実践力開発拠点 連携研究員
山梨県立大学 看護学部 実践基盤看護学領域  芳賀 了 さん
『コロナ禍における小児看護学実習のハイブリッド化と今後の展望』

2.グループワーク
(1)私が一番興味を引いたこと
参加者の自己紹介を含めて「教育現場での苦労や創意工夫」を聞いて、各自が最も興味を持ったことを参加者同士で発表し合います。

(2)私の仕事で活かそうと思った具体策
参加者一人ひとりが「教育現場での苦労や創意工夫」を聞いて、自分自身のどのような場面で何を生かそうかと思ったか、また生かしていることを発表し合います。

(3)芳賀了さんに聞きたいこと
グループ内で、本日のスピーカー芳賀了さんに聞きたいことを決めます。聞けることは各グループで1つだけ。何を聞くかは、グループで話し合って決めてください。

■□■□■ クロージング ■□■□■
熊本大学大学院教授システム学専攻 同窓生  豊場 沢子

【日時】
2024年8月24日(土)午後5時30分〜午後8時
現地・オンライン入場開始 午後5時15分〜

【会場】
現地会場 JOYSOUND金山店イベントスペース
 名古屋市熱田区金山町1-5-5     https://shop.joysound.com/shop/joysound-kanayama/
オンライン会場 Zoom(開催2日前までにアクセス先をメールでお知らせします)

【定員】
現地会場 30名
オンライン会場 40名

【参加費用】
現地会場 5,000円(食事・アルコール飲み放題付き)
オンライン会場 無料(各自でお飲み物、おつまみをご準備ください)

【2次会】(オプション)
まなばナイト終了後、2次会(現地会場のみ)を予定しています。
2次会のみ参加については、info@manabanight.comへお問い合せください。

【キャンセルについて】
まなばナイト参加キャンセル等のご連絡は,7日前までにinfo@manabanight.comまでお願いいたします。現地会場の方は6日前からキャンセル料を頂戴いたします。当日の参加取消しはご遠慮ください。

※詳細、申込フォームは下記をご覧ください。
https://www.manabanight.com/event/manabanight66

問い合わせ先:まなばナイト事務局  info@manabanight.com

【主催者】
主催:熊本大学大学院教授システム学専攻同窓会  https://www.gsis.jp

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【イベント】その他、近々行われるイベントは? 2024/8~2024/9
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2024年8月1日 (木)~2024年9月30日 (月)
 デジタルラーニング・コンソーシアム eLPベーシック・eラーニングコース「第61期」開講
2024年8月10日 (土)~2024年8月12日 (月)
 情報処理学会 情報教育シンポジウムSSS2024@ライトキューブ宇都宮
2024年8月21日 (水)~2024年8月23日 (金)
 ICoME2024 国際学会@明治大学
2024年8月27日 (火)~2024年8月29日 (木)
 2024年度 第49回教育システム情報学会全国大会@明海大学
2024年9月7日 (土)~2024年9月8日 (日)
 日本教育工学会 2024年秋季全国大会@東北学院大学
2024年9月28日 (土)
 教育システム情報学会 2024年度第3回研究会「学習の動機付け支援/一般」@高知大学

★ 編集後記
スマートウォッチを使い始めて自分の運動不足を実感。少しずつですが歩数を増やそうとしたり、ストレッチをしたりと心がけています。見える化と、動機づけって大事ですね。
(第136号編集担当:桑原千幸)

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