「情報科における教材研究の方法
〜授業創造から高校活性化まで〜」平成14年度宮城県高等学校情報科研究会授業研究会
2003.1.6.@宮城県教育研修センター
岩手県立大学ソフトウェア情報学部教授
鈴木 克明
E-mail: ksuzuki@soft.iwate-pu.ac.jp
URL: http://et.soft.iwate-pu.ac.jp /
1.情報科の授業を生徒とともに楽しもう!
- 上意下達からの脱却で楽しい授業を
- 理路整然とした授業と予想外に展開する授業
- 教師が準備して仕切る部分:4割vs生徒の発想を軌道修正して「情報科」にする:6割
- 操作は教師より生徒の方がよくできる→できる生徒に教わる;活躍する場所を与える
- 「失敗を集めて次に生かす」→生徒に教えるべきことを教師も実践する
2.教科書研究から始めて実践例を交換する
- 学習指導要領:熟読して身につける→担保:しっかり踏まえたらあとは何でもあり
- 教科書:使える部分を使う(他社のも) →用語調べ:辞書代わりに生徒に調べさせる+演習ネタ:実習でやらせることのアイディア
- 実践例の交換:Web公開事例をいただく→自分も公開:take&takeからgive&takeへ
3.要求水準を冒頭で示す(実例・プリント)
- ハウツー(どうやるか)は教えずに「さあこれをやってみよう」
- 導入課題1:最低スキルを全部網羅:とにかくこれだけは全員にやらせる →チェックリストを活用(自己評価+相互評価)
- 導入課題2:最低知識を全部網羅:知っておくべきことは「自分で調べる」 →知らないことを確認して「成長を実感させる」
4.生徒が個性を発揮する場を設定する
- やりたいことに取り組む応用課題で定着
- 要求水準さえ満たせばあとは「自由」+こだわりを追究できる時間を確保しておく
- 応用課題1:スキルの応用(作品作り) →最低スキル+α:αは個人差と考える+グループ作業:中間段階での相互評価と改善
- 応用課題2:知識の応用(レポート作り) →調べたいことをとことん調べてまとめる+正しい引用の大切さ、段落構成の大切さを教える
5.総合的学習へつなげて学校を変えよう
- 学ぶ楽しさ体験と受験対策の両立が目標 →情報科は2単位では終われない(楽しすぎて) →「総合的な学習の時間」は情報科の延長でもある
- プロジェクト学習で自己アピール材料を=高校の充実度を測るバロメータ →専門高校の「課題研究」が参考になる →高校卒業論文で「調べてまとめて伝える力」育成
- 情報科+総合を柱に教科を有機結合?! 」
高等学校学習指導要領 (平成11年3月)第10節 情 報
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 中学校での学習の程度を踏まえるとともに,情報科での学習が他の各教科・科目等の学習に役立つよう,他の各教科・科目等との連携を図ること。
(2) 各科目の目標及び内容等に即してコンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れること。原則として,「情報A」では総授業時数の2分の1以上を,「情報B」及び「情報C」では総授業時数の3分の1以上を,実習に配当すること。
(3) (以下略)
Subject: 【日本文教出版 教科「情報」メール】第19号 2003.1.3
To: ksuzuki@soft.iwate-pu.ac.jp
2002.4.12創刊 配信数:1994通 無料・隔週金曜日発行
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[1] 新年特別企画座談会 とうとうはじまる!教科「情報」
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登場人物
・田邊則彦先生(慶應義塾湘南藤沢中・高等部)・井口巌先生(東北学院中学高等学校)
・柴田功先生(神奈川県立川崎北高等学校)・福島毅先生(千葉県立行徳高等学校)
▼先生方はすでに「情報」の授業を先行実施されているわけですが,
普段の授業でどんなことを感じていらっしゃいますか?
※「情報」の実習をしていると,座学で優秀な子より,座学で言うことを聞かない子のほうが面白いアウトプットを出してくれる。それに,他の教科で「評定 3」の子が,情報だと「9」がついている。これはすごく不思議な現象だけれど,それぞれの生徒の持ち味を生かせる場が,「情報」でまたひとつ増えたのだと 感じています。(柴田)
※教科書を生徒に見せたんです。そうすると「すごく楽しそうだ!」と言う。「情報」という教科名を聞いて,生徒はコンピュータやアプリケーションの操作ス キルを教え込まれるんだとイメージしたようだけど,実際の教科書を見て,そうではないことを読み取ってくれました。生徒の期待を裏切らないためにも,この 教科は教え込みではいけないんだと改めて感じました。私たちがたくさんの先生と協力して作った教科書は,本当によく生徒がのってきます。関心の高いテーマ 設定ができた結果でしょう。生徒は楽しみにしていますよ!(田邊)
※私のところもそうです。私自信も普通の教科とは違う新しい教科を実際にやってみて,まだまだ面白いことが起こりそうだし,田邊先生も言うように,生徒がひとりでどんどん読み進んでくれる教科書もここにある。ホント,楽しい授業にしていきたいですね。(井口)
▼情報の授業をうまく進めていくための「この一手!」のようなものが
あれば,教えていただけませんか?
※この一手は,「自分で全部やろうとしないこと」です。すでにあるものを組み立てていけばいい。自由度も上がる。なにか説明するにしても,いまある資料を 利用すればいいし,知っていそうな先生に聞けばいい。うちの学校はティームティーチングで教えています。ティームを組んでいると,全くはじめての先生は最 初不安でしょうがないみたいなんだけど,次の年は自信を持ってやっている。そんな先生の変化がよく見える。とにかくやればできる教科なんです。どうせやる んだから,自分が楽しんでやってください。夢のある教科です。自分が楽しくないと,生徒も楽しくない。(福島)
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関連Webページ:
新教科「情報」・授業アイデア集http://www.johoka.net/
2002年度「我が家の自慢料理」コンテストhttp://jaj.sfc-js.keio.ac.jp/Cooking/2002/index.html