小中高ホームページの調査研究
Survey of Home Page Contents by Elementary and Secondary Schools in Japan
市川 尚
ICHIKAWA, Hisashi
東北学院大学大学院人間情報学研究科
Graduate School of Human Informatics Tohoku Gakuin University
鈴木 克明
SUZUKI, Katsuaki
東北学院大学教養学部
Faculty of Liberal Arts Tohoku Gakuin University
<あらまし>
ホームページを公開する小中高校が去年から増加の一途をたどっている。これらのホームページはいったいどのような情報を公開しているのか?そこで、ホームページの調査を行ない、小中高のホームページの現状を明らかにし、さらにどのような用途があるのか検討を加えた。
<キーワード>
ネットワーク、マルチメディア、インターネット、ホームページ、情報発信
1、はじめに
折しも、世の中はインターネットフィーバーである。教育の世界も例外ではなく、100校プロジェクトなどに見られるように、インターネットの教育利用も
注目されている。そのような流れをうけ、ホームページを公開する小中高校が去年から増加の一途をたどっている。それは試験的なものから実用のものまでさま
ざまである。
ホームページは、学校が手軽に世界に向けて情報を発信することができる、これまでになかった手段である。このようなホームページでいったい何の情報を発信しているのか?どのような使い方をしているのか?
そこで、ホームページの調査を行ない、小中高のホームページの現状と分析を行なった。
2、調査目的
小中高のホームページ利用の現状は、数の増加にともない、全体がなかなかみえてこない状態になっている。ホームページの発信内容の現状を明らかにするた
めに、ホームページ調査を行なった。またその結果から、小中高でどのようなホームページの用途があるのかを過去2回の調査(詳細は市川他、1995;
市川・鈴木、1996を参照)を踏まえながら検討した。
3、調査方法
各学校のホームページをひとつひとつみてまわり、あらかじめ用意しておいたカテゴリとその内容を照らし合わせていった。
(1)期間
調査を実施した期間は、1996年8月16日〜19日の4日間であった。
過去の調査は、以下の通りであった。
第1回:1995年8月16日〜18日(3日間)
第2回:1996年1月17日〜23日(7日間)
(2)調査項目
調査対象となった項目は、次の通りであった。
・発信内容・カテゴリ
・ホームページ設置場所
(独自・大学など・プロバイダー)
・更新日(更新の頻度)
・使用言語(日本語、英語)
・責任者の提示
・ブラウザの限定(今回の調査から追加)
・ホームページ容量(今回の調査から追加)
・ファイル数(今回の調査から追加)
発信内容は第2回調査で用いたカテゴリごとにその頻度を記録した。また、次に述べる手順に示した調査方法の改善により可能となった調査項目を追加した。
(3)手順
・小中高ホームページをさがす
日本全国の小中高校で公開しているホームページをインターネット上で検索した。
利用したのは大阪教育大学の「インターネットと教育」*1 、GLOCOMの「日本の学校」*2、Yahoo!の「YAHOO! Japan」*3であった。特に、大阪教育大学のものは、ページの充実度、更新の頻度からみても、有用なリストである。
また、ホームページは現在その学校に所属する関係者によって制作・公開されているものだけとした。外部(自治体や他校の生徒など)から公開されているもの、卒業生が独断で公開しているものなどは約185件みつかったが、それらは調査対象外とした。
・ホームページ収集
ホームページを見つけたら、次にホームページを集める作業を行なった。
今回の調査では新たに、「波乗野郎」(B.U.G制作、ver.1.0)というオートパロットソフトを使ってホームページをローカルディスク上に蓄積
し、そのなかを後から見てまわるという手法をとった。このソフトは、指定したホームページをローカルディスク上に再現してくれるソフトである。こうするこ
とで、待ち時間が少なく快適にまわることができた。ただ、このソフトはホームページのとりこぼしや、ドメイン名が長いとホームページをとって来ないでエ
ラーを返すなど問題点が多かった。
そこで、エラーログなどを見てとりこぼした部分を補充した。補充収集には「Local Internet Builder(LIB)」(鶴薗賢吾氏制作のフリーウェア、ver0.82)を利用した。
・内容の分析
ホームページでどのような内容が発信されているのかを調査するため、ホームページをひとつひとつ見てまわった。その際、調査項目に上げた内容をチェックした。
ひとつの学校のホームページ調査範囲は、他サイトにいかない範囲のすべてのリンク先を含むものとした。つまり、その学校で公開しているページすべてを網羅した。ただし、個人のページについてはその中の内容は調査範囲外とした。
4、調査結果
8月19日現在、検索の結果、ホームページは全部で603件見つかった。その校種別内訳は、図1の通りである。
異なる校種にまたがる学校は、例えば「〜中学高等学校」は高校扱いというように、一番上の校種に所属する学校とみなした。
第1回95年8月の調査(市川他、1995)の時点では98件、第2回96年1月の調査(市川・鈴木、1996)では251件であったから、95年後半の増加率は1日1.0件の割合であった。第2回調査時点から今回まで増加率は1.7件/日に高まっていた。
内容を含め、残りについては当日報告する
図1 小中高ホームページ件数推移
参考文献
市川尚・井口巌・鈴木克明(1995)「WWWホーム ページはどのように設計したらよいか〜小中高ホームページの調査・分析の観点から〜」『第21回教育工学研究協議会全国大会発表論文集』 ,pp.65-68
市川尚・鈴木克明(1996)「WWWホームページは どのように設計したらよいか?〜小中高ホームページの現状調査・分析からの提案〜」『IMETS No. 120』,pp.24-32
ichikawa@edutech.tohoku-gakuin.ac.jp